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教育現場でのタブレット活用 読み書き困難なLD児の支援期待

ニュースカテゴリ:暮らしの生活

教育現場でのタブレット活用 読み書き困難なLD児の支援期待

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【ICTで変わる教育】(中)

 ■タブレットで授業が分かる

 2020年を目指し、国が推進する教育のICT(情報通信技術)化で、「学校に1人1台の情報端末」が実現する見込みだ。これに期待を寄せるのは、文字を読んだり書いたりが困難なLD(学習障害)を持つ子供とその親ら。学校の授業でタブレット端末を使い、困難な部分を補うことができれば授業の内容を理解できるからだ。

 学校で使いたい

 超高層ビル群の一角にある「ハイブリッド・キッズ・アカデミー」(ブリキッ、東京都港区)は、タブレット端末で読み書きなどを代替する技術を教える民間教室。4月に本格始動し、最大6人が座れる教室に小中学生が集まる。

 上級のコースに通う都内の小学5年の山田快成(かいせい)君(11)はインターネットで調べ物をするのが得意だ。「好きな戦国武将は伊達政宗。趣味が料理だから。開発したのは仙台みそ。長持ちするから戦場に持っていった」。思ったことを声に出すのが苦手で、ささやくように話す。

 ブリキッでは、苦手な書き取りの代わりにタブレット端末のiPad(アイパッド)で文字を入力する。録音しながらメモを取るアプリ(応用ソフト)や、書類を撮影してデジタル化するアプリなども駆使して苦手な部分を補っている。

 知的発達に遅れはないが、小学3年のときに同級生との学力差が生じ、4年から特別支援学級に移った。授業を物足りなく感じるときもあるようだ。

 「iPadを学校にも持っていきたい。授業でキュウリを育てている畑を見るだけじゃなく、写真を撮って観察できる。作文の下書きもできる。辞書も使えるので作文を書くときに便利だから」

 苦手を補う

 LDを持つ子供の存在は、ハリウッドスターのトム・クルーズさんがディスレクシア(読み書き障害)を告白したことなどで日本でも知られるようになった。ブリキッでは黒板の字を書き写すのが難しかったり、聞けば分かるのに読み取れなかったりする小中学生を対象に、勉強の中身ではなく、苦手を補う技術を教える。

 学校でつまずき、自信を失う子供もいる。インストラクターの平林ルミさんは「小学3、4年でつまずき始める頃にタブレットを使い始めればすんなり入れるが、他の子供と違う道具を使うのがフェアではないと思う子もいる」と話す。

 学校に「1人1台」の時代が来れば、LDの子供が周囲の目を気にせず使える可能性もある。だが、保護者は「困難を補う道具として認めてもらえるか。教室にいる全員が、先生の指示に従って同じ操作をしなければならないようでは意味がない」と不安を漏らす。

 ブリキッを運営する「エデュアス」(港区)は平成21年から、東大先端科学技術研究センターやソフトバンクモバイルとともに、スマートフォン(高機能携帯電話)などの携帯情報端末による障害児の学習支援プロジェクトにも取り組んできた。参加した松江市立意東小学校の井上賞子教諭は、書くのが困難でコミュニケーションも苦手な女子児童を教えた経験から、「子供が抱える困難に気づき、必要な支援やアプリが何か見極めることが大切だ」と指摘する。

 書いた児童自身も読めない崩れた字を、アプリが読み取って活字に変換する。文字で意思疎通ができるようになると、児童は長文で好きな本や興味のあることを伝えてきたという。「タブレットを使う以前は彼女とコミュニケーションが取れていなかったと気づかされた」と明かす。

 同センター協力研究員でブリキッの事務局長も務める佐藤里美さんは「タブレット端末で苦手を補えば、学習に参加できる子供たちがいると知ってもらうことが重要だ」と話している。

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