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「年功序列型賃金」見直し着手 “働き方改革”政労使間に溝

ニュースカテゴリ:暮らしの仕事・キャリア

「年功序列型賃金」見直し着手 “働き方改革”政労使間に溝

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政労使会議であいさつする安倍晋三首相(右)=22日午後、首相官邸  日本のサラリーマンの働き方をどう改革するのか、本格的な議論が始まった。政府は22日、政府と経済界、労働団体の代表らを集めた「政労使会議」を開催。年齢や勤続年数に応じて給料が上がる「年功序列型賃金」の見直しに着手した。大企業を中心に、昇進・賃金の年功序列や長い労働時間など、日本企業特有の働き方を見直す動きが出ているが、労働組合側は慎重で溝の深さを示した。

 成果主義拡大の動き

 「経済の好循環を拡大するためには、賃金の水準と体系の両方の議論が必要だ」。この日の会合で、安倍晋三首相は賃上げと同時に、年功型賃金の見直しなどの改革を進めるべきだとの認識を示した。

 経営側が“働き方改革”に期待を寄せるのは、企業活動のグローバル化に伴い、成果主義を拡大して競争力を向上させる狙いがある。

 会合では、10月に管理職の年功型賃金を廃止した日立製作所とパナソニックのトップが制度の狙いなどを説明。若い人や中途採用で勤続年数の短い外国人でも仕事内容に応じた賃金とすることで、国際競争力を維持する考えが示された。日立の中西宏明会長は会合で、「これから生産性の向上などに大いに効いてくるはずだ」と説明した。同社は先月、「海外の優秀な人材は世界共通の人事制度を求めている」(中畑英信執行役常務)と指摘しており、海外での人材獲得競争も念頭にあるようだ。

 研究職の係長級などで、労働時間にかかわらず成果に応じて評価する裁量労働制を試行している東レは、導入対象者の拡大については「労働組合に残業が増えるとの懸念があり検討課題」とする。キリンホールディングスは来年から、管理職を(1)年功序列を主体とした従来の制度(2)成果主義をベースとした新制度-の2つに分ける方針だ。

 社員の理解不可欠

 国内市場が中心の外食産業でも、競争の激化などを背景に成果主義を拡大する動きがある。すかいらーくは来春、新しい人事制度を導入し、店舗における業績などを賃金に反映さる。

 経営側が注目するのは、労働時間に関係なく、成果に対して賃金を支払う「ホワイトカラー・エグゼンプション」制度だ。同制度には、「グローバルに事業展開する事務系の部署などに適している」(日産自動車)と前向きな声がある一方で、「混乱を招く可能性」(商社)を指摘する声もある。日本型の労働慣行を完全になくすことや、急激に変えることには慎重論も少なくない。

 一方、ワークライフバランスを重視し、労働時間を短縮しようと試みる企業も出てきた。伊藤忠商事は、早朝勤務の割増金を引き上げる「朝方勤務シフト」を5月に導入。試行では残業時間が10%減った効果が確認されているという。

 年功型賃金を見直す動きについて、連合は会合で「雇用システム形成の過程で形成されてきたものであり、賃金の在り方のみを取り上げて議論することは適切でない」と主張した。社員の理解を深めながら、競争力向上と働きやすさを両立させる最適な制度を模索する試みは、まだ始まったばかりだ。

 働き方の改革を進める企業

 日立製作所  国内管理職で年功的要素を廃した人事・賃金制度導入

 日産自動車  管理職、一般職ともに年功を廃し、成果主義の人事制度導入

 東レ     研究職の係長級、技術開発職の一部で裁量労働制試行

 キリンホール 管理職の一部を成果主義ベースの人事制度に移行させる

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