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【ブラック企業】ミスは「損害賠償」で残業代不払い…相談多く

ニュースカテゴリ:暮らしの仕事・キャリア

【ブラック企業】ミスは「損害賠償」で残業代不払い…相談多く

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 ブラック企業に就職した従業員が、精神的に追い詰められるケースは多い。ブラック企業に苦しむ労働者からの相談を受け付ける「ブラック企業被害対策弁護団」には、全国から深刻な相談が寄せられている。

 30代の男性は、配送業の企業に入社した直後から、社長や先輩社員に暴行を受けた。時には制服が破れるほどの暴行を受けることもあり、暴言を吐かれることもよくあった。仕事でミスをすると「損害賠償」として賃金や残業代が支払われないことも。男性は鬱状態となり退職を申し出たが、顔を殴られた上、社長が実家に押しかけ、退職を認めないと迫ったという。

 弁護団などが昨年9月に行った電話相談には、10時間の受け付け時間中に正社員を中心に116件の相談が寄せられた。残業代不払い(41件)▽いじめや差別(33件)▽長時間労働(18件)-などが多かったが、「有休を取らせない」「辞められない」「ノルマがきつい」などの相談も複数あった。

 こうした企業で働くうちに、精神的にも肉体的にも追い詰められ、使い潰される若者も多い。体調を崩した従業員に退職勧奨して会社都合退職をさせておきながら、ハローワークには「自己都合退職」と偽造した退職届を提出していた企業もあったという。

 弁護団事務局長の戸(と)舘(だて)圭(よし)之(ゆき)弁護士は、今回の厚労省の方針について「ある程度は効果がある」と評価。ただ、新卒者はハローワークでなく民間の求人情報を使って就職活動をすることが多いことから、「民間の事業者も同様の対策を取ることが重要だ」と指摘する。また、ブラック企業と認定されることを恐れ、求人票に記入する情報を減らす企業が出ることも考えられ、「そうなると労働者側に不利となる」と懸念する。

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