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疲弊する酪農家、バター不足の背景 なぜ生乳の生産量が減っているのか

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疲弊する酪農家、バター不足の背景 なぜ生乳の生産量が減っているのか

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 今回のバター不足に対処するため、酪農家で構成する一般社団法人・中央酪農会議は2月中旬の理事会で、2015年度の生乳生産を強化することを申し合わせた。といっても生産強化の中心は2~3年で食肉に回していた牛を長く飼うことで乳量を増やす「長命連産」(ちょうめいれんさん)施策の継続にすぎない。

 長命連産は乳牛の頭数が限られるなかで学識経験者などが提案してきた苦肉の策で、これで生乳生産量を飛躍的に増やせるわけではない。農水省は2014年度予算で、酪農畜産全体で約500億円の予算をつけ、暑さに弱い乳牛が快適に過ごせる牛舎の環境整備など酪農家の生産基盤強化に取り組む方針を打ち出しているが、即効性に乏しい。

 乳業メーカーの動向も在庫を左右

 鍵を握るのが乳業メーカーの動向だ。2月上旬、大手乳業メーカー各社は生産者団体と協議の末、生産者支援のため、生乳の買い入れ価格(飲用乳価)を今年4月から1キロあたり3円(約3%)引き上げることで合意した。この乳価の値上げ分をメーカーは自社内で吸収するのか、それともバターなど乳製品の小売価格に転嫁するのか。

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