2016年“官製春闘” 年収かベアか、せめぎ合い
更新一方、連合・労働組合側はベアにこだわる。神津里季生会長は、「(デフレの脱却は)1年や2年ではなしえない」とし、ベア継続の必要性を強調する。その象徴が、春闘相場をリードする自動車や電機などの金属労協の今年のベア3000円以上の要求だ。昨年は6000円以上を要求したが、業績好調にもかかわらず、あえて抑制的に減額して要求した。今後数年はこの水準を要求し、確実にベアを獲得させたい思惑もある。
これに対し、経団連はベアにこだわらない「年収ベースでの賃上げ」で連合を牽制(けんせい)。連合は、賃上げで個人消費への波及が大きいのは特別給与(賞与など)ではなく、所定内給与(月例賃金)が圧倒的という厚生労働省の試算を持ち出し、政府の後押しで何としてもベアを獲得したい考えだ。
来週開催される「労使フォーラム」で、経団連の榊原会長と連合の神津会長が考えをそれぞれ表明し、今年の春闘が事実上スタートする。デフレ脱却には賃上げが必要という点では労使が一致するが、ベアの是非をめぐってはなお労使の隔たりは大きく、激しい攻防が繰り広げられそうだ。(平尾孝)
