ローカリゼーションマップ
「言いたいことが言える」ことに寛容な土壌を イタリア人は「お節介」なのか?
安西洋之
他方、これらの行為を「お節介」と呼ぶのが適切なのか、とも考える。
他人の為ではなく、自分の内に沸々と湧いてくる「言いたいこと」を単に抑えきれないだけではないか。しかも時と場所をわきまえず。
日本では「言いたいこと」を過度に抑える習慣を身につける教育がされやすいが、イタリアでは「言いたいこと」に過度に寛容である。それで両国とも違った「困ったこと」が起きやすい。
多分、「両方の良いバランス点を探そう」というのは砂上の楼閣で、どちらかに傾くしかないのではないか。
その場合、イタリアがいい、日本がいいではなく、「言いたいことが言える」ことに寛容である土壌を作るのに懸命になるのがマシだと考える。
文化論における折衷案は、往々にして国内向け社交辞令であるし。(安西洋之)
【プロフィル】安西洋之(あんざい ひろゆき)
上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『デザインの次に来るもの』『世界の伸びる中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』、共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)とフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih
ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。