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デザイン文化を構築するリーダーシップとは? 国ごとに異なる“成熟度”
安西洋之
より成熟した文化では、外面的な美から内面的な美へ評価軸が移りやすい。またファッションブランドも他人が一見してすぐ分かるようなロゴのついたものは身につけず、分かる人には分かる質のよい服を好む。
他方、ルータの研究課題は、デザインのエキスパートではない人たちが、デザイン文化に接してどのようにそれを使っていくかであり、ここで述べている美しさの話とは距離がある。
それでもデザインから審美性や美意識を落としたところで、一企業ではなく国としてデザイン文化が根付くとはどういうことかとのイメージがしづらい。
先日、ある人と会っているとき、「欧州の某大手自動車メーカーのデザインのトップが、料理をデザインとは呼ばせない、と私の前で豪語していました」と話してくれた。
カーデザイナーが言いそうなセリフだと思った。何をエラソーにと思う人も多いだろう。
ただ、「デザインの意味が変わってきたのだから、こういう物言いは古臭い」と一蹴するのも違うと感じた。このカーデザイナーがつくるモノには、考え抜いた跡が見える。
そこには言ってみれば「言語化されて解像度が上がった」と称賛するレベルの何十倍か何百倍かの緻密性がある。だから、それだけの自負がある。
この点は外せない。
ルータは美しい女性であり、服もお洒落だ。指導教官曰く「リトアニアでルータほどファッションセンスのよい女性を見たことがない」。
デザイン文化を作っていくリーダーシップとは?
博士論文審査会は、このテーマを多角的に考えさせてくれる契機となった。
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