預金の流れを把握されているデメリット
大きな銀行が将来的に安心だと感じる人を中心に、大手銀行に預貯金が集中するのは当然の流れだが、預けられる銀行側は「利息」という費用を支払う義務を負うことになる。利息の支払いを逃れるには、ファンドラップや投資信託など、預貯金以外の金融商品にお金を投じてもらうことが必要で、その流れを退職金のタイミングと合致させたものが、今回の“退職金プラン”となる。
銀行が金融機関として有する最大の強み、それは預金を管理していることだ。証券会社と保険会社の場合は、投資する資金を預かる時、消費者の現金または預金口座から自社の預金口座に振り込んでもらう。給料の支払いでも年金の支払いでも、確実に預貯金口座を一度通過することになる。銀行は入金を全て把握しているから、大口の入金があった場合にすぐに営業できる体制を整えているのだ。
銀行のあの手この手
賢明な読者のみなさんは、先に紹介したような「退職プラン」に飛びつかないと思うだろう。ところが、銀行もあの手この手で営業するし、退職者は世代的に銀行に信頼を置いている人が多い。まさか銀行が自分にとって不利になるような提案を持ってくるはずがないと思っているフシもある。
銀行のやっかいな手法として、以下のようなものがある。
・元職場の先輩や上司に勧誘させる
・支店長が出てくる
以前、教職員の方に聞いたところ、校長を定年で退任された方が、銀行に勤めだして、自分たちが定年した後に退職金の営業に来るということだった。狭い世界ゆえ、元上司の誘いをはねつけることは難しいだろう。銀行側の作戦勝ちである。
支店長が出てくるというのは、なかなか曲者で、自分が大切なお客さまであると思いこませる効果を生む。わざわざ支店長が来てくれた、というのは、何人ものシニア消費者から聞かされた言葉であり、結果として預貯金を丸々投資してしまったという人も少なくない。結果は聞いていないが、相場の状況を考えれば後悔している人が多いのは聞かずともわかることだ。
退職金で失敗しないためのポイント
そもそも銀行には預貯金を別にして的確な投資のアドバイスができる人はそれほど多くはいないかもしれない。また、勧められる商品は自社系列の商品であったり、金融商品の運用会社(メーカーと言いますう)との資本関係を含むパワーバランスが影響する。自分のために商品を選んでくれているわけではないのだ。すでに銀行で退職金を投資してしまった人は、運を天に任せるか、さっさと解約するのが得策だろう。もし、これから投資しようと考えている人がいるならば、以下の点を提案している金融機関の営業担当に質問してほしい。
・提案者だったらその商品に投資するか
・自分の家族に自信をもって勧められるか
この2点に自信をもって「YES」と回答できないような提案であれば、やらない方が無難である。筆者の知り合いに、ファンド(投資会社)を作っていた人間がいるが、自分の祖父母に自分の作った商品が販売されるのを想像するのに耐えられなくて会社を辞めた、という。
営業する側は時に他人事のようでもある。自分や自分の家族にも提案する内容なのかを確認する作業を加えることで、担当者によっては良い商品を提案しなおしてくれるかもしれない。ただ、最後に余談になるが、その担当者は、支店内では評価されないだろう。販売推奨する商品はあらかじめ決められているからだ。
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