「海外送金」がブレイク間近?〈後編〉 トランスファーワイズの凄さ
つまり、トランスファーワイズがしているのは、国際送金を「国内送金」へと転換することなのです。複数の中継銀行を通っていませんので、従来の海外送金よりも大幅に安い送金手数料を実現できるわけです。アナログな発想ながら、実に画期的な仕組みだと思いませんか? 実際のところは、必ずしも同じ金額の送金リクエストがあるとは限りません。そのため、トランスファーワイズも、送金をマッチさせるために必要なそれぞれの通貨でのお金は用意しているそうです。国と国を超えたそれぞれのニーズの間をとりもつこのシステムが、これまでの既得権益を壊して、移民国家の生活者にとって欠かせない国際送金の覇者となったわけです。
大きなお金が送れないというデメリットも
ただしこのアプリには、もちろん短所と呼べる点も見つけられます。例えば、大きな額のお金は送れない点です。大きな資金を送金できないと、特にBtoBビジネスでは不便です。また、こうしたサービスは、マネーロンダリングの温床になってしまう可能性も孕んでいる点には注意が必要です。日本人にはちょっと想像しづらいかもしれませんが、テロ組織やマフィアなどが行うマネーロンダリングへの監視の目は、国際的には非常に厳しいものになっています。もちろん、トランスファーワイズもテクノロジーの力を使って不審な資金移動には目を光らせています。
フィンテックのポテンシャル
最後に、身近なところで僕の仕事仲間がしてくれたこんな話を共有しましょう。
彼女は、日本からアジア某国にお金を送ろうとしたら、「オンラインでは一切できない」「物理的に銀行に来るように」と言われたので、銀行に出向いて行きました。すると、昔ながらの面倒なA3の書類に時間をかけて記入させられ、支店での決裁に加えて本店での決裁も必要だとのことで長時間待たされる羽目となってしまったそうです。結果、手続きだけで1日かかってしまったと言います。さらに、そこから中継銀行に1週間、次の中継銀行に渡るのに1週間、そこからその国の銀行に送金されるのに1週間という時間がかかり、結果、お金が送れたのが約1カ月後になったという、冗談のような恐ろしい不便さを感じる体験をしたそうです。
その後、トランスファーワイズをはじめて使ったときには、あまりの簡単さに驚いてしまい、国際送金する際は既存の銀行は一切使わなくなったそうです。
国と国をまたぐ。まさに、これが、フィンテックの力なのではないでしょうか?