ヘルスケア
画期的インフル薬「ゾフルーザ」の誤算 変異ウイルスで意見分かれる
「塩野義の使命」
ゾフルーザは昨秋から3月までタミフルの約1.2倍となる約528万人分を医療機関に販売。使用が制限されれば、シェア拡大を狙う塩野義にとっては、大きな誤算となる。
同社は変異ウイルスが出現しても薬による治療効果は得られている可能性があるとみている。治験を担当した塩野義の医薬開発本部プロジェクトマネジメント部、上原健城部門長は「青少年や成人では、変異ウイルスが出現しても罹病(りびょう)期間は未投与の患者に比べると短い傾向にあった。熱やせきなど7つの症状を数値化して平均をとると、変異ウイルスの有無で有効性に差はなく、症状の悪化との因果関係を認めることは現時点ではできない」とする。
発売当初から薬の添付文書に、変異ウイルスの発現した患者では投与3日後にウイルスが再び増えていることをグラフで明示してきた。治験を監督する医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議してのことだ。
昨年10月に製造販売が承認された米国でも、承認機関の米食品医薬品局(FDA)がコメントの中で、FDA独自の調査に基づき、耐性出現率について他のインフル治療薬と比べて「割合は変わらない」とした。ただ、人から人への感染などに関するデータは「継続的に監視されるべきだ」とする見解を示している。
感染症に対して耐性が出現しない治療薬を生み出すのは、極めて困難なのが現実。ゾフルーザが直面する問題は、感染症治療薬ならではのリスクだ。
現在、同社が重視しているのは「治験の詳細な解析に加え、販売後に実際に処方された患者への調査を積み重ね、随時開示していく」(沢田拓子副社長)ことだ。手代木功社長は「感染症領域への挑戦は塩野義の使命でもある」と話す。