キュートな野獣?
デザインコンセプトは「THE CUTE BEAST」だという。「キュート」は可愛いを意味する。「ビースト」は確か、獣だとか四つ脚の動物だったはず。不安になって辞書を紐解くと、俗語では「馬力のあるクルマ」とある。「ひどい人」だとか「イヤな人」という和訳にまじって、「めっちゃいい」とか「めっちゃかっこいい」とある。それが一般的なのかわからないけれど、なかなか攻めたキャッチーであろう。
そもそも「X」文字の跳ね上がったウイングに埋め込まれたライトはヘッドライトではなくLEDポジションランプだという不思議。切れ上った目のイメージからてっきりヘッドライトかと決めつけたら裏切られた。へッドライトは下段に縦に並んでいるそれである。低い位置に埋め込む事によって、対向車や往来する人々の眩惑を避ける意味がある。とはいうものの、デザイン的なインパクト狙いが本心のような気がする。
「ek X」は、アグレッシブな印象を強める為に、細部にもこだわりの処理が伺える。ホイールアーチには黒いシールが貼られ、サイドスポイラーも黒である。これによってホイールアーチが大きく、大径タイヤのような視覚的錯覚が得られる。車高も高く感じる。よりクロスカントリー風なイメージが強調されるのだ。そういえば車名は「ek X」だった。
そう、改めて写真を眺めて欲しい。今でもこの顔に、違和感がありますか?
【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】はこちらからどうぞ。