クルマ三昧

EVの“音”を楽しむ時代が始まった BMWやジャガーが放つ驚きの咆哮

木下隆之
木下隆之

 実際のエンジンの音ではない

 BMWが開発したレンジエクステンダー(ガソリンエンジンを発電機とし、蓄えた電気だけで走るクルマ)は、まるでV型8気筒ガソリンエンジンのような勇ましい音がした。といっても、実際のエンジンの音ではなく、シンセサイザーのように意図的な細工によって響かせているのだ。搭載するのは直列3気筒エンジンである。

 ジャガーのI-PACEなどは潔い。搭載する動力源は100%EVモーターなのに、排気音は獰猛な武闘派スポーツのようである。というのもそれは、「アクティブサウンドデザイン」と呼ばれる手法で、シンセサイザーが作り込んだサウンドをスピーカーから流す。アクセル開度と連動しているから、ともすればリアルなサウンドに聞こえなくもないという凝りようだ。

 あくまで疑似的なサウンドだから、調整は自由自在だ。音質も任意に選べるのである。EVなのに、聞こえるはずもないガソリンサウンドが響くことに違和感があったものの、それも走り出して数分のこと。次第に受け入れてしまっている自分に気付いた。

 ちなみに、車内ではゴウゴウと勇ましく吼えていながらも、外にはいっさい響かない。というのも、車内のスピーカーから流しているだけだからである。

 いずれEVモデルは、どんなサウンドを響かせるのかを選択する時代になる。ピアノの調べ…、ハードロックのシャウト…、仔猫の鳴き声…。これからはクルマはどんどん楽器になっていく。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】こちらからどうぞ。

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