「LC F」投入への伏線か
過去にはこんな例もあった。燃料給油ホースはたいがい、車両のリアクオーターにある。キャップから燃料タンクまで太いパイプが伸びている。そのパイプが、幌格納スペースに干渉する。結果的にボディが亀の甲羅のように盛り上がってしまった。それにより、流れるようなスタイルが阻害される…、というような弊害が起きる。レクサスLCはコンバーチブル化を見越して開発されたことで、そんな見苦しさを回避できたのである。“評判の高さに気を良くして、あとから幌を付け足したモデル”とは異なる完成度であるわけだ。
ちなみに、ルーフはメタルトップではなく、キャンバストップである。クーペとの差別化をするためには正しい配慮である。コンバーチブル化をサプライヤーに丸投げするのではなく、レクサス工房が自ら手掛けている。
エンジンはV型8気筒5リッターエンジンのみだ。ハイブリッドの選択肢はない。10速オートマチックとの組み合わせだ。走りも整っていると予想する。
実は個人的には、レクサスLCコンバーチブルの完成は、レクサスLCの次なる刺客への事象であるような気がしてならない。つまり「F」の称号を冠したハイパフォーマンスモデル「レクサスLC F」のデビューへの伏線ではないかということだ。
開発責任者の武藤CEは、クーペ開発時点からボディ剛性を確保していたという。さらにボディ補強も加えたという。つまり、さらにハイパワーなLC Fにその細工は活かされると予想するのである。レクサスLCコンバーチブルのデビューは2020年の夏だと発表されている。そしてその後…。
【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】はこちらからどうぞ。