自動車税などにも影響
一方、製造者が型式認定を受けないと、「C-HR GRスポーツ」や「ダイハツ・コペンGRスポーツ」は改造車と見なされ、車両ナンバー取得の際には運輸支局に、一台一台クルマを持ち込まなければならない。燃費等も実測するために、場合によっては環境基準レベルが変わることも考えられる。自動車税などにも影響するわけだ。
そう、型式認定と持ち込み登録には、ユーザーにはまったく影響しないが、販売店の担当者にとっては大きな違いがある。つまり、お客様に対しては無関係なことであるからこそ、これまで語られてこなかったわけである。
実はこれ、そのコストが密かに値引きやサービスに影響され、間接的に被っている可能性は否定できない。型式認定のメリットは販売店のコストにある。そしてそれは同時に、製造元、つまりトヨタやダイハツにも悪影響を残す。
販売店の担当者は、「C-HR GRスポーツ」を一台売るよりも、ノーマルのC-HRを売ったほうが、持ち込み登録をしない分だけ労力に優しい。だったら、ノーマルをセールスしたくなるのは人の性だろう。
というようなデメリットを解消する可能性が、型式認定取得には隠されているのである。我々には大勢の変化はないが、改造車として一括りにされてきたGRポーツが、晴れて公的に認定されたことはちょっと誇らしい。
【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】はこちらからどうぞ。