教育・子育て

オンライン授業は現状では無理…悩む学校、教育格差に不安の声

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休校措置について、5月6日としていた期限の延長を決める自治体が4月に相次いだ。休校中も学習指導は行われているが、同時双方向型のオンライン指導を行うことができる学校はわずかで、多くはプリントやドリルなど紙ベースだ。保護者や教育関係者からは「地域や学校によって学力に差がついてしまう」と不安の声が上がり始めている。(藤井沙織、加納裕子)

 教科書もなく

 兵庫県内で中学2年の長男(13)、小学5年の長女(10)、小学2年の次男(7)を育てるパートの母親(42)は、子供たちを通わせる公立の小中学校でオンライン指導が行われないことに、不安を募らせている。

 4月28日には、5月6日までの予定だった休校期間が5月末まで延長された。特に中学生の長男は、4月21日までは教科書も配られていなかった。「朝から毎日オンライン授業をしている私立中学もあるのに、差がありすぎる」。学力の格差解消のために検討されている「9月入学」も「ありだと思うけれど、運動会などの行事の開催時期がどうなるのか気になる」といい、小学生の長女らも含めて「将来、学力の低い“コロナ世代”などとやゆされるのでは」とも心配している。

 大阪府柏原市のある市立小学校は、緊急事態宣言で新年度の教科書を配る予定だった登校日がなくなり、4月24日までにようやく全家庭に教科書を配り終えたばかり。同校の校長は「新しい教科書を使ってどんな学習をさせるかを今、学年ごとに検討しているところだ」と話す。

 これまでは、教員が作成したプリントを各家庭に配布してきた。「アナログではあるが公平で、子供が一番、宿題として慣れ親しんだ方法」と校長。だが、一部の保護者から授業動画の配信など新たな取り組みを求める声も上がり始めたといい、「保護者の中にも、学校が始まらない焦りが出てきた」という。

 アナログでも工夫

 文部科学省が全国の教育委員会を対象に行った調査(複数回答可)では、休校中に実施する家庭学習として、全ての教委が「教科書や紙の教材を活用」していると回答。一方、「テレビ放送を活用」は24%、「教委が独自作成した授業動画を活用」が10%、「同時双方向型のオンライン指導」は5%-となり、指導方法に差が出た。

 京都府南丹市のある市立小学校には、配信に必要な機材がそろっており、一部の保護者からはライブでの授業配信の要望がある。しかし、「インターネットにつなぐ環境やパソコンがない家庭がある以上、学習に大きな差の出るやり方はできない」として授業のライブ配信には踏み切れないという。

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