出産育児一時金はいくらが適正か
地域間の出産費用が20万円となると画一的に〇〇万円の支給ですと不公平感が出てきます。筆者の家庭では出産時に出産育児一時金相当額+アルファの支払いをした記憶があります。出産一時金を引き上げると、病院への支払いが増えるというジレンマも生じます。
これは、幼児教育の無償化が始まったにも関わらず、保育施設の都合で保育料が引き上げられた現象と酷似しています。利用者の負担が減ることで、サービス提供者は利用料を引き上げやすくなるのです。
1つの解決策としては、厚生労働省が出産費用の水準を定めた上で、出産費用の自己負担を0円にすることです。一時金を引き上げるたびに出産費用が上がっている状況ですとイタチゴッコで利用者負担が減らない可能性が考えられます。
出産に伴い行政からの支援が必要な3つのこと
出産費用の負担を減らそうという与党の考えは理解できるものの、すこしばかり焦点がズレている印象を受けます。筆者が考える支援すべき出産関係の項目は下記となります。
(1)妊娠検査の無償化
高校生などの未成年や若年者の妊娠出産でよく聞かれるのはお金がかかるため妊娠を公にできず、母子手帳も持たない。妊婦検診もお金がなく受診できなかったというものです。
そのため、まずは妊娠検査の資金負担を軽くする必要があります。そのための制度が妊娠検査の無償化です。緊急避難的な産婦人科の受診も含めて、妊娠検査を無償で女性に提供するのです。
この無償化の実施にあたっては夜間や土日の検査も実施できるような体制を構築することが望ましいと考えます。産めよ増やせよだけでなく、望まない妊娠に対しても包括的に対応する必要があります。
(2)妊娠一時金
次に妊娠一時金です。妊娠した事実を確認し母子手帳を取得した方が金銭的にメリットとなる制度が必要です。
妊娠検査の結果、妊娠中であることがわかった場合、即時に一時金を受け取ることができればどんなに安心できるでしょう。例えば10万円を即時に受け取ることができれば、妊娠に備えた準備用品の購入ができるでしょう。賛否分かれますが望まない妊娠であった場合、中絶費用を賄える程度のお金である必要もあります。
望んだ妊娠であれば、妊娠に伴う悪阻などによって働けなくなることもあるでしょうから、収入保障という側面も持ち合わせることができます。