商用車タイヤにこそ求められる走り味
実際に走行してみると、クルマの安定性に優れていることがわかった。特徴的なのは、積載して走行しても(荷物を積んでのテストもさせられた…)、不安感が悪化しないことである。タイヤのケーシング剛性が高く、簡単に腰砕けしないのである。詳細な技術は割愛するが、高性能スポーツタイヤ並みの高度な技術が投入されている。それでいて、商用タイヤらしい配慮も見せる。縁石やガレ場でタイヤを保護するラバーを、サイドウォールに貼っていたりする。過酷な環境からも保護してくれる。
個人的には履くことはないであろう商用車タイヤなのだが、改めて考えをめぐらせてみれば、商用車タイヤこそ、高い走行安定性が求められると再認識した。一般的に商用車は、荷物を積載して長距離を移動する。つまり、荷物の積み下ろし時間はわずかであり、それ以外の時間のほとんどは走っているのである。1日で数百キロものロングドライブもザラであろうし、1000キロを超える移動も少なくないに違いない。だからこそ、空荷から満載まで、不安感に変化のない走り味が求められるのである。
もちろんこういったタイヤテストは、ミシュランに限らず商用車タイヤを開発するすべてのタイヤメーカーが行っているはずである。
今回の評価テストは、スポーツタイヤばかりテストしてきた僕にとって、目から鱗(うろこ)が落ちた思いである。これからはもう少し、商用車タイヤに気を配ってみようかと思う。
【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】はこちらからどうぞ。YouTubeの「木下隆之channel CARドロイド」も随時更新中です。