まさかの法的トラブル処方箋

“監視”付き面会の法整備で奪われる「愛される権利」 家族法改正議論に違和感

上野晃
上野晃

 耳を疑った「監視機関」創設の噂

 ご存じでしょうか? 現在、家族法改正に向けた審議が行われているということを。法務省内の法制審議会というところで、たくさんの偉い人たちが話し合いをしています。今年の3月30日に第1回目の会議が開かれ、4月27日には第2回目の会議が開かれています。テーマは養育費確保と面会交流、そして共同親権その他、子供の福祉ということが中心となっています。

 以前、このコラムの中で私は、養育費と面会交流は車の両輪のようなものだと言いました。そういった意味では、養育費の問題と面会交流の問題が同時に議論されるのは歓迎されるべきことだと思います。だからこそ、私はこの法制審議会に強く期待していました。

 別居・離婚に伴う親子の問題に関して、従来の日本でまかり通ってきた慣習、つまり離婚したら別居親と子供は生き別れになるのが当たり前という考え方を転換し、現代の家族観に合った新しい法制度を構築してくれるものと信じ、応援しようと思っていました。

 ところが先日、こうした私の期待を根底から覆すような話を聞きました。5月5日のこどもの日、埼玉会館(さいたま市)で開催されたトークイベントで、私はにわかには信じがたい情報を耳にしたのです。

 「面会交流を安心・安全に行うために、巨大な監視機関を複数作る。そして、その監視機関を法制度化し、認証機関を設ける。裁判所から出向している法務官僚に依頼され、すでに某大学教授が監視機関の認証基準を作成済みである。この方針ですでに多くの根回しを終えていて、子どもに会えない親の代表として選ばれた法制審議会委員に対しても強い説得があってその委員もやむなく賛成せざるを得ない状況である」

 これって、本当? と思わず自分の耳を疑ってしまいました。だって、この日のトークイベントにリモートでWEB登壇してくださった弁護士でもある前文科相の柴山昌彦衆院議員もおっしゃっていた通り、「まだ審議は始まったばかりでこれから内容を詰めていく」という段階のはずですから。なのに、すでにそんな話が固まっているなんて。だとしたら法制審議会の議論って何なの? これって出来レースなの? と思わず疑いたくなってしまいます。

 そもそも今回の面会交流の議論に入る前段階から、不安はありました。議論のテーマが、「安心・安全」な面会交流の実現になっていたのです。何がおかしいの? と思う方もいらっしゃるでしょう。実際に子供と会えない状況に置かれておらず、この国の面会交流のシステムを知らない人にとっては、何が問題なのかなかなか分からないかもしれません。

 まず知っておいていただきたいのは、日本では夫婦が別居して、同居親が別居親と子供との交流に対して消極的であれば、別居親と子供との交流の頻度はとても少なくなるということです。場合によってはまったく会えなくなるというケースも少なくありません。

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