まさかの法的トラブル処方箋

“監視”付き面会の法整備で奪われる「愛される権利」 家族法改正議論に違和感

上野晃
上野晃

 「監視機関」が親子の交流を縛る恐れも

 5月5日のトークイベントで登壇されたある当事者の方の発言で印象的な話があります。この方は、イギリスに住んでいた経緯もあったことから、日本とイギリスの両方で調停を起こしたそうです。すると、日本では、6カ月に1回数時間の面会となったのに対して、イギリスでは、裁判官から「イギリスに引っ越してくることは考えていないのですか? イギリスに引っ越してくれば、1年の半分はあなたとお子さんが会うことができますよ」と言われたそうです。詳細は分かりませんが、「日本とイギリスでのあまりの違いの愕然(がくぜん)とした」とおっしゃっていたのが印象的でした。

 このような大変な違いがあることを念頭に置いておいてください。その上で、あくまで噂ではありますが、法制審議会が向かおうとしていると言われている内容がどういったものなのかを聞けば、多くの方が違和感を抱くと思います。

 巨大な監視機関を設けて、安心安全な面会交流を実現するということは、つまり、別居親と子供が会う時には、監視機関がそばにいつも張り付いていて、その交流の状況を監視することになります。親子のプライベートなどありません。さらに、監視機関の都合に大いに左右されます。

 例えば、監視機関が、「ウチは月に1回4時間までしかやりませんから」と言えば、それ以上、親子が会うことができなくなってしまいます。実際にそういう方針の監視機関は存在します。さらに監視機関が「プレゼント禁止」とか「監視者のいないところでの私語禁止」などというルールを設ければ、親子の交流はそれに縛られてしまいます。

 確かに、このように別居親と子供との交流をルールと監視でがんじがらめにしていれば、面会交流中に別居親が子供を殺害する事件などは起きないでしょう。噂が本当だとすれば、法制審議会の外で水面下に行われている議論は、恐らくこうした事件が起きるリスクを防ぐことを目的としているのでしょう。

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