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「学生」が株主総会に“潜入”!? そこで見えた光景と注目する経営者とは

学生投資連合USIC
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 株主総会と聞くと、お偉い人が集まり、堅苦しく、閉鎖された空間のイメージを学生はもつ。そんな株主総会だが、実は簡単に出席できる。オンライン含め年間数十社の株主総会に潜入してきた経験をもとに、株主総会に参加する意義・参加するうえでの見どころなどを「学生視点」から考えてみたい(“潜入”と題していますが、もちろん然るべき手続きをとって出席・参加しています)。

■簡単に出席・参加できる株主総会

 株主総会は学生からすると、株式会社における最高意思決定機関といわれているだけに、なかなかハードルを高く感じる。一方で現実には、権利確定日に1単元以上(一般には100株)を持っていれば、学生であっても誰でも参加できる。株主総会が行われる2週間以上前に郵送で「招集通知」と「議決権行使書」が届く。

■招集通知の注目ポイント

 招集通知と株主通信を統合する例も多く、内容が盛りだくさんだが、決議事項のうち、株主提案に注目したい。会社提案含め多くの記載事項はテンプレートに沿った形式的なものが多いが、株主提案には個性が見られる。株主提案というと、野村ホールディングスの商号の「野菜ホールディングス」への変更を求める件をはじめとする100個の提案が話題となったが、会社法改正などで株主提案権の濫用は淘汰される方向にある。

 近年はアクティビスト(モノ言う株主)をはじめとする様々な方面からの株主提案が増えている。増配だけではなく、ESG関連の提案も増えており、持続的な成長を促そうとしている。今般、政策保有株式の縮小に伴い、安定株主が減少するなか、議決権行使助言会社や日本版スチュワードシップ・コードの影響による議決権行使基準の厳格化、さらには活発に活動するアクティビストと株主の視線は厳しくなっていることを踏まえると、要注目だ。

 総会当日は、議決権行使書を受付で提示すれば、入場できる。議長(社長)の開会宣言→監査報告→事業報告(映像+ナレーション形式も多い)→議案上程→質疑応答→採決→閉会宣言の順で一般には進行する。

(1)会場全体を見回して

 服装はもちろん自由であり、私自身も普段着で出席している。一方で、スーツを着こなしている人が多く出席している総会もある。他にも、男女比・年齢層など株主の顔ぶれは企業により大分異なり、個性が出る部分だ。(あくまでも勝手な想像だが)スーツ姿の人が多いと、機関投資家・取引先や関連企業の方々と勘ぐってしまうし、男女比や年齢層は保有年数や目的などに結び付き、いろいろ想像は膨らむ。

 また、株主総会の運営には様々な人が関わっている。外注やサポートシステム導入などが進んでいるといえ、(特に会場が自社の会議室の場合)運営をメインで支えているのはその会社の社員だ。想定問答集などで武装している壇上の経営陣よりも、素の姿がみられ、社風などが感じ取れるかもしれない。

(2)質疑応答

 質疑応答は総会に参加・出席する人の最大の関心だろう。特に個人投資家が、直接経営陣に質問できる機会は非常に貴重だ。聞いているだけでも、他の株主の視点がわかり、学ぶことが多い。もちろん、全ての質問に正面から回答できるわけではない。質問によっては、「他社との関係上開示できません」と返答する場合もあるが、そうであっても一言で済ますのか、回答しようという姿勢をみせるのかでは、株主への姿勢は異なるようにみえる。

 質問の内容に意識が向いてしまいがちだが、(想定問答集があるとはいえ)質問があらかじめ知らされていない以上、質問をうけた後の対応方法にも要注目だ。社長が大抵の質問に回答できる会社もあれば、各担当の役員を指名する企業もある。どちらのスタイルが良いということではないが、社長のポジションや他役員との役割分担などを見極められる。社長が質問を受けるたびに、事務局や他の役員に確認・相談する場面を目にすると、少し不安になる。

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