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露版新幹線「サプサン」で極上の旅 ロシア・サンクトペテルブルク
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2020年夏季五輪の開催を目指す東京都の猪瀬直樹知事(66)が国際オリンピック委員会(IOC)の会合に出席するため、5月末、ロシア西部のサンクトペテルブルクを訪れた時のことだ。モスクワから飛行機で乗り込んだ私は帰省する際、ロシアの「新幹線」に乗ることを決めていた。
日本でなら、ほぼ東京-姫路間の650キロに相当するモスクワ-サンクトペテルブルク間を約4時間強で走る高速鉄道「サプサン」号である。
人口1100万人の首都と500万人の第2の都市を結ぶ空の便は、ロシアのドル箱路線。複数の航空会社が時間帯も価格帯もさまざまなバリエーションを用意して、乗客の獲得合戦を繰り広げているが、実は、どうも使い勝手が悪い。
都心から郊外の空港へ向かうまでに大渋滞に巻き込まれてしまうし、モスクワにはある空港アクセス鉄道が、サンクトペテルブルクではまだ整備されていない。そのため、1時間半の空の旅は、トータルの所要時間でそのスピードが相殺されてしまい、利便性ではサプサン号に軍配が上がるのだ。
しかし、09年から営業運転が始まったこの高速特急にも弱点があり、まだ1日6往復しか運行されていない。チケットも航空便より割高で、550の座席がすぐに埋まってしまう。鉄道好きの私は、1週間前にネット販売で残り数席のビジネスクラスの座席を、約6000ルーブル(1万8000円)で購入し、乗るのを楽しみにしていた。
サンクトペテルブルクのモスクワ駅、午後1時。五輪関連最後の原稿を近くのカフェで書き終えた私は、モスクワ駅の街を造ったピョートル大帝(1672~1725年)の銅像がある広々とした駅構内を通り抜け、ドイツ・シーメンス製の丸みを帯びたフォルム「ヴェラロ」型の車両に初対面した。
サプサンはロシア語で「ハヤブサ」を意味する。先頭の列車の“顔”は露国旗の白、赤、青の3色の装飾が施され、両サイドに羽根が描かれている。ホームで駅員に、チケット代わりの証明となるパスポートを見せて、車両に乗り込んだ。
中は1列4座席。ゆったりとした作りで、とても居心地がいい。車内には割安な高速ネット回線が完備され、時間に追われている仕事人にとっては喜ばしい。
大きめの机にパソコンを置き、さっそく稼働。しばらくすると、女性車掌がコーヒーを運んできてくれて、仕事がはかどった。
乗車1時間後、今度は昼食。機内食と同じ形式で、サラダとチキンライスを頼んだ。メニューに、黒いライ麦パンがついてくるのがいかにもロシアらしい。
緑の森や青い湖、そして、時折現れるタマネギ帽子のロシア正教教会の景色を眺めながら、食事を堪能した。
読書、昼下がりの居眠り。合間にフェイスブックにサプサンの写真を掲載すると、東京の同僚から「ユーロスターに似てる」との打ち返しがあった。
コメントの返事をパタパタと打ち込んでいると、いつの間にか車窓には、街の景色が多くなってきた。そうして、「ロシアの首都モスクワへまもなく到着します」とのアナウンスが鳴る。
あっという間の4時間で、モスクワのレニングラード(サンクトペテルブルクの旧称)駅に着いた。移動の疲れを感じさせない車内環境だった。
やはり、モスクワ-サンクトペテルブルク間の旅は、ロシアのハヤブサに身を委ねるのがいい。(モスクワ 佐々木正明、写真も/SANKEI EXPRESS)