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“宮崎駿流”アニメ製作に限界? 「引退」世界に波紋

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“宮崎駿流”アニメ製作に限界? 「引退」世界に波紋

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 引退が明らかにされた日本アニメ映画の巨匠、宮崎駿監督(72)の新作「風立ちぬ」が9月1日夜(日本時間2日未明)、イタリアで開催中の第70回ベネチア国際映画祭で公式上映され、観客から約5分間のスタンディングオベーションを送られた。

 上映後、ヒロインの声を演じた女優の瀧本美織さん(21)は、宮崎監督のことを思い浮かべながら観賞したと涙をみせ、「監督に感謝の気持ちを伝えたいです」と話した。

 会場には、作品中に「カプローニおじさん」として登場するイタリアの飛行機設計者の孫、イタロ・カプローニさん(38)も姿をみせ、「私のイメージどおりの祖父が描かれていて信じられなかった」と語った。

 細部までこだわり

 宮崎監督引退のニュースは、国内外に波紋を広げている。映画監督の引退表明は極めて異例で、自ら細部に関わる「宮崎スタイル」の限界を指摘する声も聞こえた。

 「映画監督はスポンサーが付かなくなるなど、自然に引退する例がほとんど。『最後のつもりで』と製作に臨む人はいるが、引退を明言する監督は聞いたことがない」

 映画評論家の佐藤忠男氏(82)はこう話す。

 アニメ評論家の氷川竜介氏(55)も「アニメ監督を含めたクリエイターは生涯現役が基本」とする一方、「スタジオジブリは実質的に宮崎さんの個人工房。仕事に年齢的な限界があったのでは」と推測する。

 氷川氏によると、アニメの作画の細部は、監督がスタッフに指示して製作するのが普通だ。だが、宮崎監督は膨大な絵コンテ、原画の核となる部分を自ら手書きし、出来上がった作品の表情一つも自身で直すこだわりを貫いてきた。

 映像研究家の叶精二さん(48)は「50代でもありえない奇跡に近い仕事ぶり。いつ引退してもおかしくはないと思っていた」と激務をおもんばかった。

 映画監督で評論家、樋口尚文さん(51)は「時代の歯車に合致しない、異物感のような作品を送り出してきただけに、引退表明も宮崎さんなりの何かの表現なのかもしれない」と話した。

 審査に影響も

 海外メディアの反応もさまざまだ。開催地イタリアのメディアは「現代的なアニメで人々を感動させ、驚かせてきた天才」(ANSA通信)などと称賛。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は「(引退)発表の言い回しは宮崎氏がより短い作品を製作する余地を残している」と伝え、短編による製作継続に期待をにじませた。

 「風立ちぬ」は、ベネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を競うコンペティション部門に出品されている。イタリアの有力紙コリエレ・デラ・セラの記者は「審査員らはこのこと(引退のニュース)に無関心でいられるだろうか」と、引退表明が審査に影響を与える可能性を示唆した。

 主要賞は7日夜の授賞式で発表される。(SANKEI EXPRESS

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