SankeiBiz for mobile

【取材最前線】白斑問題 前途多難のカネボウ

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの社会

【取材最前線】白斑問題 前途多難のカネボウ

更新

 「ほら、カネボウの化粧品で問題があったでしょう?」

 今夏、電車の中などで何度となく似たような会話を耳にした。話していたのは主に女性だが、年代はさまざま。美白化粧品があらゆる世代に浸透し、認知度や注目度が高い証拠でもあろう。

 カネボウ化粧品の「ブランシールスペリア ホワイトディープシリーズ」をはじめとする美白化粧品により、肌がまだらに白くなる「尋常性白斑」の問題。7月4日の問題公表以降、まだそのメカニズムは、詳しくわかっていない。カネボウでは、紫外線などとの関連性を考えられるひとつの方向として挙げているが、仮説の段階だ。

 問題公表後に開設した専用電話には該当商品どころか、カネボウの製品さえ使用していない消費者からも「白斑が出た」との電話があったという笑うに笑えない話もある。だが、該当する発症者は約1万人に達し、その補償額も大きく膨らむ。カネボウの前途が多難なことは確かなようだ。

 カネボウ化粧品の夏坂真澄社長は、都合3度開かれた会見に全て出席。「被害者の方が完治されるまで対応するのが責任」などとして、引責辞任せず、対応にあたっている。役員報酬返上や、品質管理部門を親会社の花王と統合するなどの対応策も打ち出した。

 だが、問題公表の2年前ごろから何度かあった消費者からの通報や皮膚科医からの指摘といった、会社全体が問題を把握するタイミングを逃した責任は大きい。この遅れが結果的に被害の拡大を招いた点は否定しきれない。

 夏坂社長は社員について、「カネボウというより、各部門の社員という意識が強い」と指摘。白斑問題についても部門を越えて社員間で共有されず、トップまで情報が上がってこなかったとの認識を示し、来年1月の定期人事異動では「部門の壁を破壊する」として、カネボウの社風にメスを入れる方針を打ち出した。

 強い決意をにじませてはいるが、昨年6月の社長就任から1年の間、そうした社風に切り込めなかったことをも示唆した形だ。1年間できていなかったことに、売上減や補償額が膨らむこの苦しい状況下で挑むことは、被害者への補償と同様、あるいはそれ以上にハードルが高そうだ。(兼松康/SANKEI EXPRESS

ランキング