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中国「世論分析官」に猛反発 200万人で監視、ネット利用者「秘密警察だ」
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中国政府は、インターネットでの国民の投稿を検閲するため、約200万人を雇って日夜監視を行っている。国営紙の新京報が10月9日までに報じた。監視要員は「世論分析官」と呼ばれ、月収は6000元(約9万6000円)以上。専用ソフトを駆使し中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」などの交流サイトに書き込まれる政府批判に目を光らせている。民主化運動を抑えつけようとネット検閲を強化する当局に対し、約6億人の中国ネットユーザーは、「ネット秘密警察だ」などと猛反発している。
中国当局によるネット検閲は広く知られているが、人員規模や具体的な手法が明らかになるのは極めて異例だ。
報道によると、政府機関や国営メディアが幅広く人員を募集し、約2週間の有料研修を経て「分析官」に就く。その後、中国共産党の宣伝部門や大手ニュースサイト、民間企業などで任務を遂行するという。
具体的には、300万元(約4800万円)の専用ソフトを使い、政府当局などの依頼者が指定したキーワードに基づき、交流サイトなどの投稿を検索。政府への批判や否定的な書き込みを収集・分析し、報告書にまとめて提出する。
この専用ソフトはなかなかの優れもので、特定のテーマについての投稿数などから、その話題の拡散度合いを自動的に測定。一定水準を超えると“警報”を発令し、当局に注意喚起する。批判的な投稿を削除するなど、具体的な対応は、政府機関が判断するとしている。
「200万人というのは大変な数だ。彼らは交流サイト上の潜在的集団行動を監視するためなら何でもやるだろう」
中国メディアに詳しい香港大学のデビット・バンダースキ氏は、この問題を報じた米CNNに対し、こう語った。
中国のネットユーザーは6億人近くに達し、「微博」の登録者は5億人を超えた。投稿数は1日当たり約1億件に上り、体制側への不平不満を書き込んで憂さ晴らしをするだけでなく、公務員や官僚らの不正・腐敗を告発する場にもなっている。
当局は中東の民主化運動「アラブの春」で交流サイトが重要な役割を果たしたことなどからネット監視に躍起だ。国営紙が監視の実態を伝えたのも、ネットユーザーを牽制(けんせい)するのが狙いとみられる。中国メディアはネットを「イデオロギー闘争の主戦場」(北京日報)と位置づけ、監視強化を主張している。
中国では先月(9月)末、上海に設けられた自由貿易試験区で、接続が全土で遮断されているツイッターなどの海外交流サイトの利用が解禁されると報じられたが、結局、実現しなかった。ネット監視に対する国民の不満は高まるばかりだ。
「ネット上の好ましくない投稿をすべて削除することは不可能だ」と、新京報も認めている。200万人を動員しても、巨大なうねりとなったネットユーザーを押さえ込むことはできそうにない。(SANKEI EXPRESS)