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徳洲会 公選法違反容疑者の逃亡支援 虎雄氏「すぐ逃げろ。遠くへ行け」

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徳洲会 公選法違反容疑者の逃亡支援 虎雄氏「すぐ逃げろ。遠くへ行け」

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 昨年の衆院選をめぐる公職選挙法違反容疑で東京地検特捜部の強制捜査を受けた徳洲会グループの複数の幹部が、公職選挙法違反容疑などで指名手配された徳洲会グループ職員の逃亡を組織的に支援していたことが10月13日、産経新聞の調べで分かった。1991~97年にかけ、指名手配されていた職員3人が徳洲会グループの病院の職員寮に住んでいたことが判明。このうち1人は取材に対し、医療法人徳洲会理事長、徳田虎雄氏(75)から逃亡を指示され、逃走中は毎月、グループ側から給与相当額を支給されていたと証言した。

 3人のうち、鹿児島県内のグループ病院職員だった男性は、91年2月の鹿児島県伊仙町長選で、徳田氏が支援した候補者陣営の選挙運動を担当し、不在者投票用紙を偽造した有印私文書偽造、同行使の容疑で鹿児島県警から指名手配された。

 複数の関係者によると、男性は投票当日に姿を消した後、中部地方にあるグループ病院が職員寮として借り上げていたアパートに入居し逃亡を続けた。

 1993年7月の衆院選では、徳田氏陣営の選挙運動をしたグループ職員3人と支援者1人の計4人が公選法違反(買収)容疑で鹿児島県警から指名手配された。このうち職員2人も91年に逃亡した男性と合流し、同じ病院寮のアパートやマンションに数年間住んで逃亡を続けていた。

 3人は逃亡中、偽名を使い、それぞれ病院内の喫茶コーナーの開設と運営、病院新設のための用地探し、新人研修医獲得のための大学回りなどの仕事を割り振られて働いたという。

 病院は3人に家賃や光熱費を請求せず、給与も直接支給しなかったといい、表向き3人との接点はなかった。しかし、3人の生活費として、徳洲会幹部(当時)らが関連企業や後援者の経営会社を経由させて、給与相当額を毎月支給していたという。

 93年に逃亡した2人は、鹿児島地検が被疑者不在のまま起訴を繰り返して時効を中断させたため、逃亡を断念して96年ごろに自首。実刑判決を受け服役した後、グループに復帰し、現在はそれぞれグループ病院の事務局長、クリニック事務長を務めている。

 91年に逃亡した男性は、約6年4カ月後、時効成立を受けて本名に戻り、鹿児島県内の医療施設の事務長に就いた。

 3人のうち1人は取材に応じ、「投票当日に理事長から電話で『逃げろ』と言われ、時効成立まで逃げ切るよう指示された。グループ本部から毎月、取引先企業の口座を経由して生活費が振り込まれた」などと話した。

 ≪虎雄氏「すぐ逃げろ。遠くへ行け」≫

 指名手配された職員3人を病院寮に住まわせるなど、組織的に逃走を支援していた疑いが明らかになった徳洲会グループ。3人は逃走中も選挙運動に駆り出されたほか、うち1人が病気入院した際は、グループを率いる徳田虎雄氏が病室を見舞ったといい、理事長の深い関与をうかがわせている。

 投票当日に電話指示

 「すぐ逃げろ。遠くへ行け」。選挙の投票当日、徳田氏本人から電話で言われた一言が、長い逃亡生活の始まりだったと、徳洲会グループ職員の男性は語る。

 中部地方の徳洲会病院から徒歩数分の場所に2階建てアパートがある。病院が全室を借り上げ職員寮として使っているが、1993年当時はここに、指名手配されたグループ職員2人が住んでいた。

 近くのマンションの数室も病院が借りており、その1室にも当時、逃亡中の職員1人が住んでいた。隣室には病院に当時勤務していた徳田氏の実弟が住んでいたという。3人に居住場所を割り振ったのは病院の幹部事務職員で、病院の幹部たちも3人が逃亡中であることは承知していたという。

 「自宅には定期的に警察官が立ち寄るので近づけない。家族と離れた長い逃亡生活はつらかったが、逮捕されれば上の人たちに迷惑がかかる恐れがあるので、逃げ続けるしかなかった」

 うち1人が体調を崩し、病院に入院した際は、所用で病院に立ち寄った徳田氏が菓子箱を手に病室を見舞ったという。

 忠誠尽くせば要職に

 3人は逃走中もそれぞれグループの仕事を与えられ、寮を拠点に偽名で働いたほか、選挙運動にも駆り出されていた。

 1996年の衆院選で、徳田氏が代表の自由連合は全国で88人もの候補者を擁立。その多くが選挙経験のない新人だったため、経験豊富な徳洲会グループ職員が各陣営に派遣された。逃走中の職員も兵庫、埼玉県の候補陣営に派遣され、偽名で選挙参謀を務めたという。

 3人のうち、時効成立まで逃げ切った男性は97年、鹿児島県内のクリニック事務長に就任している。鹿児島県内の病院幹部によると、このとき、近隣の病院長らが集まった会合で徳田氏は、米国のテレビドラマ「逃亡者」の主人公にたとえ、「日本のリチャード・キンブルだ」と男性を紹介したという。病院幹部は「理事長が彼に付けたキンブルのあだ名は勲章みたいなもので、逃亡するほど忠誠を尽くせば要職に就けられる実例として語られた」と話した。(SANKEI EXPRESS

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