SankeiBiz for mobile

社民党首選 吉田政審会長が一騎打ち制す 長引く党勢衰退…多難な再建

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの政治

社民党首選 吉田政審会長が一騎打ち制す 長引く党勢衰退…多難な再建

更新

 社民党の党首選は10月14日開票され、吉田忠智(ただとも)政審会長(57)=参院比例=が新党首に決まった。東京都豊島区議の石川大我(たいが)氏(39)=党都連合推薦=との一騎打ちを大差で制した。長引く党勢衰退からの再建が最大の課題となり、国会議員主導の党運営に対する地方組織の不満を解消できるかどうかも問われる。

 吉田氏は執行部体制を大幅には変えない方針で、又市征治幹事長は続投の見通しだ。新体制は26日の全国代表者会議で承認を得て、正式に発足する。吉田氏の任期は福島瑞穂前党首の残任期間を含め、2016年初頭に開く党大会までとなる。

 有権者は国会議員5人を含む党員・協力党員計1万7410人で、投票率は71.67%。投票結果は吉田氏9986票、石川氏2239票だった。

 吉田氏は党首就任の記者会見で「改革、刷新しなければ党の将来はない」と述べ、石川氏ら地方議員や有識者もメンバーとした党改革推進本部を新設する方針を表明。労働組合との関係強化とともに、市民団体との連携も図る意向を示した。

 党首選は当初、国会議員4人が推薦した吉田氏の無投票当選が見込まれていた。だが、地方議員らの支援を得た石川氏が立候補の要件となる党員200人以上と所属する都連合の推薦を確保。1996年に旧社会党から党名を変更して初めての選挙戦となった。

 ≪労組依存・乏しい国政経験 地方議員の不満拡大≫

 社民党は吉田忠智党首の下で再建を目指す。自治労出身で「調整型」を自任する吉田氏には、労働組合依存からの脱却など大胆な党改革は難しいとの見方が根強い。国会議員主導の党運営のままでは、初の選挙戦を実現し「リニューアル」を期待した石川大我氏ら若い地方党員らの不満が拡大するのは間違いない。国政経験が約3年と乏しい新党首の前途は多難だ。

 今回の党首選も無投票を見込んでいた国会議員側にとって、石川氏の立候補は想定外の「地方決起」だった。投票結果を見ると、全体では吉田氏が石川氏の4倍超の票を獲得した。しかし石川県や滋賀県では石川氏の得票が上回り、石川氏を推薦した東京都でも吉田氏の320票に対し240票にまで追い上げた。党運営への不満は必ずしも小さくない。

 それだけに、吉田氏は2015年春の統一地方選で成果を迫られる。党財政が苦しさを増す中、地方組織の活動は沈滞気味だ。党首の「発信力」も福島瑞穂前党首に比べると期待できないのが実情。又市征治幹事長ら「ベテラン」が事実上の主導権を握るようであれば、求心力の低下を招くのは確実だ。

 党は次期衆参両院選の結果によっては政党要件を失いかねない瀬戸際にある。重鎮の村山富市元首相が「このままでは先がない」としてリベラル勢力結集に向けた政界再編に言及するなど、党員や支援者には「解党的出直し」論もくすぶる。(SANKEI EXPRESS

 ≪温厚な「調整型」≫

 ■よしだ・ただとも 国政経験は党所属国会議員5人の中で2番目に短いが、又市征治幹事長らの強い要請を受けて党首選立候補を決意した。福島瑞穂前党首が強い個性と抜群の知名度で党を牽引(けんいん)したのとは対照的に、温厚な人柄を生かした「調整型」の党運営を目指す。

 大分県職員労働組合委員長や県議を経て2010年参院選で初当選。小学生時代に新聞配達で家計を助けた経験から、弱者や労働者の側に立つ志を培った。休日は妻と映画観賞や温泉巡りを楽しむ。57歳。大分県出身。

ランキング