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大麻に揺れる米社会 2州で解禁「嗜好品」 連邦政府は「違法薬物」

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大麻に揺れる米社会 2州で解禁「嗜好品」 連邦政府は「違法薬物」

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 米国で「大麻解禁」をめぐり波紋が広がっている。昨年11月、西部のコロラド、ワシントン両州で実施された住民投票で、大麻が酒やたばこと同じ「嗜好(しこう)品」として認められ、合法化されたことが背景にある。ただ、連邦政府は「違法薬物」との立場を維持し、混乱も表面化。青少年への悪影響を懸念して合法化に慎重な世論も根強い。

 海に面した公園に、吸引用パイプなどの“大麻グッズ”を販売するテントが並ぶ。ラフな服装や水着姿の若者たちが楽しそうにのぞき込む。今年8月、ワシントン州シアトルで開かれた大麻愛好家の集い「ヘンプフェスト」。主催者推計で25万人が参加し、お祭りムードが漂った。

 たばこと同じ

 住民投票を受けて州法を改正したワシントン州では、21歳以上なら少量の大麻を所持、使用しても罪に問われない。警官も未成年者の使用は違法と注意を促しつつ、来場者に「ようこそ」「楽しんで」と声を掛けていた。

 米社会では、たばこなどと同じように「節度を持って大麻を楽しめばよい」との考え方がじわりと広がる。長年、合法化を訴えてきた弁護士ダグラス・ハイアットさんはヘンプフェストの討論会で「ようやくここまで来た。(嗜好品としての合法化に向けた)機運を保ち、全米へ広げよう」と訴えた。

 医薬品として認知

 米国における大麻合法化は、がん患者の痛みを和らげるなど医療上の目的から始まった。皮切りは西部カリフォルニア州。1996年、住民投票に基づき、全米で初めて医療用大麻の使用を州法で認めた。

 その後、カリフォルニアに倣う州が増加。医療目的で使用できるのは現在、コロンビア特別区(首都ワシントン)と20州に上る。このうちコロラドとワシントン両州が嗜好品としての大麻合法化に至った。

 20州の中ではこの2州のほか、アラスカ州でも合法化の是非を問う住民投票を目指す動きがある。合法化に反対する連邦政府も各州の決定は尊重しており、司法省は今年8月、合法化を阻むために2州を訴えるつもりはないと表明した。

 「副作用」に懸念

 ただ、連邦法は今も大麻をヘロインなどと同列に扱い「乱用の恐れが極めて高い危険薬物」に指定。今後、州レベルでさらに「解禁」への流れが強まれば、混乱や「副作用」も見込まれる。

 コロラド、ワシントン両州は来年、大麻の栽培や販売を合法化する。これに伴って“大麻ビジネス”も生まれるが、取引業者の銀行口座が「違法取引に使われている」として、財務省が凍結を命じる可能性がある。

 その場合、多くの業者は小切手やオンライン決済を利用できず、現金取引を強いられるとみられる。役所や金融機関の振込窓口が混雑したり、販売店で強盗が多発したりする事態も懸念されている。

 未成年者への悪影響も軽視できない。ワシントン州でも公共の場での大麻使用はなお禁じられているが、ヘンプフェストではパイプに詰めた大麻に堂々と火を付ける若者の姿も見られた。

 「ワシントン薬物乱用・暴力防止協会」のデレク・フランクリン会長は「子供たちが大麻を手にする恐れは確実に大きくなった」と警告。「警察は未成年者の使用をもっと真剣に取り締まるべきだ」と訴えた。(シアトル 共同/SANKEI EXPRESS

 ■大麻と米社会 米NPO「マリフアナ・ポリシー・プロジェクト」によると、全米50州のうち20州とコロンビア特別区(首都ワシントン)が州法などで医療用大麻の使用を認めている。この中でコロラド、ワシントンの両州は昨年11月に実施した住民投票の結果、大麻を嗜好品として合法化することを米国で初めて決めた。21歳以上なら1オンス(約28グラム)以下の大麻を所持し、使用できる。2014年から認可を受けた業者が栽培・販売を始める予定。大麻が社会に蔓延(まんえん)し取り締まりが追いつかない中、節度ある個人の使用を認めるとともに、業者に課税して州の財源とした方が現実的との判断がある。(共同)

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