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経済
苦境打開はバーバリーに学ぶ アップル、女性CEOを引き抜き
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米アップルは、苦戦を強いられている中国などの新興国事業のテコ入れを図るため、1856年創業の英老舗ファッションブランド、バーバリーの米国人女性CEO(最高経営責任者)を、“三顧の礼”で迎え入れる。来年半ばまでに小売り・オンラインストア担当の上級副社長に就くアンジェラ・アーレンツ氏(53)は、バーバリーでブランドイメージの回復を成し遂げ、中国など新興国ビジネスを成功させた実績を誇る。アップルは最近、アパレル業界から相次いで幹部を引き抜いており、“異業種コラボ”に活路を見いだそうとしているようだ。
「実際の店舗とオンラインショップの両方を牽引(けんいん)できる人材を求めていた。だが、そんな人材は現れなかった。アンジェラに会うまでは…」
アップルのティム・クックCEO(52)は、アーレンツ氏のスカウトを喜ぶ電子メールを従業員に配信。「最初に会った昨年1月に、彼女を仲間に加えたいと思った」と明かした。異例の移籍はアップルとバーバリーが10月15日に発表した。
ロイター通信やAP通信などの報道によると、アーレンツ氏はアップルで約10年ぶりの女性役員となる。アップルは報酬額を明らかにしていないが、バーバリーでは2011~12年度に1560万ポンド(24億6000万円)を得ており、英国のCEOでナンバーワンの高給取りだったという。
アーレンツ氏は米中西部インディアナ州にある人口2000人の田舎町ニュー・パレスティーンで生まれ育った。
地元のボールステイト大学を卒業後、一貫してファッション業界で働き、2006年にバーバリーのCEOに就任。輝かしい実績を挙げた。
「デザインに新しい色使いやパターンを多用。宣伝にインターネットの交流サイトを使い、古くさかったバーバリーを誰もが欲しがる若者ブランドに変身させた」
米調査会社NPDのアナリスト、マーシャル・コーエン氏はロサンゼルス・タイムズ紙で、彼女の手腕を絶賛。その上で、「アップルは移り気な若い世代が熱望するブランドであり続けるための新しいやり方を探している」と、今回のスカウトの背景を分析した。
また別のアナリストはロイター通信に「ブランド価値を毀損(きそん)させずに、中国市場で比較的低価格の商品を売ったバーバリーでの経験が、アップルでも生かされるだろう」と予想した。
アップルはブランドイメージを浸透させるため、世界13カ国で408店の直営店を展開しており、実は高級ブランドとの類似性が高い。ただ、新興国市場では、「iPhone」など高価格のアップル製品は、韓国サムスン電子や中国メーカーの低価格製品に押され、シェアが低迷。直営店も売り上げ減と利益率の低下にあえいでいる。9月には廉価版の「iPhone5c」を発売したが、ちっとも安くない価格設定だったこともあり、苦戦が伝えられている。
アップルは今年7月に仏高級ファッションブランド、イヴ・サンローランのポール・ドヌーブCEOを、8月には米ジーンズメーカー、リーバイ・ストラウスの米小売り部門トップ、エンリケ・アティンサ氏を引き抜いたばかり。苦境打開へ異業種頼みが鮮明となっている。(SANKEI EXPRESS)