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G20共同声明 米財政に緊急行動迫る 「自覚なき米」恐怖回避へ各国結束
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ワシントンで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は10月11日午後(日本時間12日未明)、債務上限引き上げ問題で世界経済を揺るがす米国を名指しし、「短期的な財政の不確実性に対処するため緊急の行動を取る必要がある」と明記した共同声明を採択して閉幕した。
議長国ロシアのシルアノフ財務相は閉幕後の記者会見で「オバマ政権と米議会が問題を解決し、(財政の)不確実性が数日以内に解消されることを望む」と述べた。
共同声明は世界経済の現状について、主な先進国に改善の兆しがみられ、「回復が続いている」としながらも、先行きに「リスクが残っている」と指摘。中国やインドを念頭に「多くの新興国の成長が鈍化している」と懸念を示した。
米国が模索する量的金融緩和の縮小については、新興国から懸念が出たため、声明は「金融政策の変更にあたっては明確に意思疎通する」ことを求めた。
声明は「中期的な財政戦略の実施」を各国に要請。麻生太郎財務相は、来年4月の消費税率8%への引き上げと5兆円規模の経済対策について説明した。(ワシントン 柿内公輔/SANKEI EXPRESS)
≪「自覚なき米」恐慌回避へ各国結束≫
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が米国に財政問題の解決へ「緊急行動」を迫ったのは、世界恐慌の入り口という抜き差しならぬ状況が各国を結束させ、G20自らも事態打開へ動き出したことを示す。だが米側の反応はなお鈍い。
G20の会場となった国際通貨基金(IMF)本部と目と鼻の先にあるホワイトハウスでは、デフォルト(債務不履行)回避に向けた協議が10月11日も続けられた。オバマ大統領は上院共和党の議員団と面会、ベイナー下院議長とも電話で会談した。
共和党は前日に提案した6週間分の連邦債務の上限引き上げに加え、閉鎖された一部政府機関も暫定的に再開させる案を提示したとみられるが、合意には至っていない。
麻生太郎財務相はG20閉幕後の記者会見で、米議会に迅速な行動を促す上で、「G20のメッセージが効果のある道具として使われるだろう」と指摘した。発言には、震源地のワシントンで開かれたG20が、膠着(こうちゃく)状態に陥っていた財政協議の打開に大きな役割を果たせるはずだとの読みがある。
G20の議長国ロシアのシルアノフ財務相も「米国は可能な限りのことを実行すべきだ」とたたみかけた。
シルアノフ氏によると、ルー米財務長官とバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長はG20で、デフォルトに直面するとされる17日までに「問題を解決する」と明言。米国は国際社会の圧力の前に、約束手形を切らされた格好だ。
だが、ルー氏は記者会見すら開かず「大統領は政府機関の再開と債務上限引き上げを議会に要請している」と木で鼻をくくったような声明を出しただけ。一方で欧州や日本に構造改革や成長の加速を促し、「本当に危機の自覚があるのか」と白い目で見られても仕方なさそうだ。
一時は進展の兆しも見えた財政協議も、大統領と野党共和党が駆け引きに終始。カーニー大統領報道官が記者会見で、債務上限の6週間分引き上げという共和党提案について「(11月下旬の)感謝祭休暇を前に全く同じことが起きる」と急場しのぎにすぎないと指摘するなど、双方の溝はなお深いままだ。
デフォルトが現実となれば、世界経済の大混乱とともにG20の威信まで地に落ちるだろう。米国もG20も剣が峰に立たされた。(ワシントン 柿内公輔/SANKEI EXPRESS)
≪明確なメッセージ出せた≫
麻生太郎財務相は10月11日(日本時間12日)、ワシントンでの20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の閉幕後に記者会見し、米財政問題に関して「他国への影響が極めて大きいという明確なメッセージを出せた」と述べ、G20の共同声明が議会との調整を急ぐ米政府の後押しになるとの見方を示した。
麻生氏は、米国債の価格急落につながりかねない米連邦債務の上限引き上げ問題は「(米国内の)国立公園のシャットダウン(閉鎖)とはレベルの違う話だ」と指摘。「国際社会の懸念を踏まえて早期に解決することを期待する」と語った。
日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は、日本がデフレ脱却への道筋を「順調にたどっている」と会議で説明したことを明らかにし、日本の成長強化には「規制緩和を含めた構造改革が一番重要だ」と強調した。(ワシントン 共同/SANKEI EXPRESS)
・米国は財政問題で緊急行動が必要
・世界経済は回復が続いている
・主な先進国の景気は改善の兆し。多くの新興国で成長が鈍化
・金融政策の将来的な変更は、注意深く調整し、明確に説明
・財政の持続可能性の確保は引き続き優先課題。財政再建は短期的な経済状況も考慮