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【取材最前線】「ヘビメタ女王」という生き方

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【取材最前線】「ヘビメタ女王」という生き方

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 デビュー30周年を迎えた“ヘビー・メタルの女王”浜田麻里さんに7月下旬、インタビューする機会があった(産経新聞10月21~25日連載)。初めてアルバムを聴いたのが29年前というオールドファンだが、歌手への取材経験は皆無。ぶしつけな質問もあったのではと恐縮しているが、終始、笑顔で答えてくれたのが印象的だった。

 ちょっとした偶然が重なったことがきっかけのインタビューだったが、中年記者があえて「未知」の取材に踏み込んだのは、長年のファンだからという以外の理由がある。

 「瞬間芸」で時流の波を乗り切る流行歌手、往年のヒット曲をCDや全盛期のようには歌えないベテラン歌手も少なくない音楽シーンで彼女の存在は対極に位置すると考えたからだ。

 今年7月末の歌番組まで20年間、テレビに生出演しなかったように、良い曲を作り歌うことだけが自分の本職だという固い信念がある。

 全エネルギーを創作活動に注ぎ続けた結果、ファンの「満足度」は年を経るごとに増しているようにみえる。20年、30年と支持し続けているようなファンが、最近のライブで、往年のヒット曲以上に最新アルバムの楽曲に喝采を送っていることからも明らかだ。

 アルバムの楽曲に、迫力や臨場感といった新たな生命力を与え、迫真のライブを続ける「プロの中のプロ」。そんな歌い手の存在を一人でも多くの人に知ってもらいたいとの思いが、取材の一番の動機だった。

 インタビューを終えて興味深いと感じたことがある。ポップスの女王の座にありながらデビュー10年目に国内のライブを休止。ライブを復活させたのは、その9年後。30年間の軌跡がほぼ10年単位で節目を迎えていることだ。

 50年代、60年代、70年代と3つの時代に区分されることが多いエルビス・プレスリー(1935~77)の歌手人生とどこか重なり合う。「ヘビメタの女王」や「ロックンロールの王様」には、先駆者として避けて通れない宿命のようなものがあるのかもしれない。

 「女王」がこれから、どんな道を歩むことになるのか。必見ともいえる来月(11月)からの30周年ツアーはチケットが即日完売のため断念。来年4月の特別ツアーまで、ため息交じりの日々が続くことになりそうだ。(森山昌秀/SANKEI EXPRESS

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