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ソチ五輪開幕まで3カ月 予算5兆円 整備ラストスパート
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氷上の華麗な舞い、雪空へ飛び出すジャンプ、そして、白銀の世界で1秒を争う熱い闘い-。4年に1度の冬季五輪がいよいよあと3カ月あまりに迫った。
開幕は来年2月7日。開催都市、ロシア南部のソチは日本人にはなじみが薄いが、黒海東岸の保養地として知られる。ロシア人なら一度は長期休暇を過ごしてみたいと思う憧れの街でもあり、ロシアのプーチン大統領もたびたびこの地を訪れ、ソチの公邸で休暇を過ごしている。
競技施設は、スケートやアイスホッケーなどが行われる「アドレル」の海会場と、ジャンプやスキーなどが行われる「クラースナヤ・パリャーナ」の山会場の2つに分かれている。
冬季五輪史上最高の約510億ドル(約5兆円)超の予算をかけた整備は最後の仕上げの段階に入った。工事が残る主な施設は、開会式と閉会式が行われるメーンスタジアムのみ。中央広場には、五輪聖火を掲げる塔とみられる巨大なオブジェの建設も行われている。
もちろん、最終ランナーがどのようにしてこの塔に聖火をともすのかはトップシークレットとなっているが、点火式は、ロシアの高度経済成長の勢いをそのまま映し出したソチ五輪の見物の一つになるだろう。最終ランナーの有力候補には、フィギュアスケート男子のエース、プルシェンコの名が挙がっているのが興味深い。
一方、各競技施設では、国際大会もたびたび開催されている。そんななか10月24日から、海会場側の選手村が公開され、国内外の報道陣が現地取材に訪れた。
≪憧れの保養地 世界にアピール≫
宿泊施設の白壁は、南国の雰囲気を醸し出す。全部で50棟、約1500部屋が用意され、五輪期間中、2000人のトップアスリートが滞在する。浅田真央選手や高橋大輔選手ら日本のフィギュアスケート陣も、この施設で過ごすことになる。
窓を開ければ紺碧の黒海を望み、海に沈む夕暮れの絶景は、世界一を決める闘いに挑む選手たちに、一時の安らぎを与えるに違いない。バスルームは一流ホテル並みに広く、風呂好きの日本人にとっては、大きいバスタブがあるのがうれしい。
ソチ五輪組織委員会の承認を受け、建設を請け負ったロシアの企業は7億2000万ドル(約700億円)を投資して、選手村一帯のゾーンを整備した。
五輪後、このゾーンは、ヨットハーバーなども完備されたリゾート地に生まれ変わる。選手が宿泊した部屋も、1平方メートル当たり平均4700ドルで売りに出されるという。
メーンスタジアムは、2018年に、モスクワやサンクトペテルブルクを含むロシア主要都市で開催されるサッカーW杯の試合会場としても使われる。
夏の保養地でウインタースポーツの祭典が行われることで、ソチは名実ともに、フルシーズン滞在可能な観光地として、世界中の人々に認識されることになるだろう。(佐々木正明、写真も/SANKEI EXPRESS)