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【対話の達人】日本人が弱い「みんなやってる」論法 Steve Mogi

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの経済

【対話の達人】日本人が弱い「みんなやってる」論法 Steve Mogi

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 ある豪華客船が航海の途中、事故で沈み始めた。もう海に飛び込むしかない。船長は皆にこう言った。

 イギリス人には「飛び込むのが紳士です」。ドイツ人には「飛び込むのがこの船の規則です」。イタリア人には「飛び込めば女性にもてますよ」。日本人には「みんな飛び込んでますよ」。

 国民性を表現した有名なジョークです。多くの日本人は、この「みんな~している」論法に弱いようです。

 例えば、「体重が気になる人への朗報。このサプリメントを飲んだ80%の人に体重減の効果がありました」。あるいは、もっと直接的な表現で「皆さんAをお選びになっています」。私たちは、80%や皆さんといった言葉を聞くと、自分もその選択をしないとグループから取り残されるとの心理がはたらき、他の人と同じ行動をとってしまいます。

 この論法は、特に日本人を説得する時に有効です。説得が上手な人は、これに加えて相手を褒め、さらにメリットを伝えます。「茂木さんはたくさん素晴らしい仕事をしていますので、頭の切り替えにこのスーパーマムシドリンクが最適です。知的な仕事をしている方は皆さん飲んでいますよ」。「あっ、そうですか、それでは2ダースください」となるわけです。

 次に説得される側について考えてみましょう。他の人と同じ行動をとることは、悪いことではありません。しかし、この論法で迫られた場合、自分にとって本当に必要なことは何かを考え、「体重減効果の他に2カ月で体脂肪が10%減りますか?」などと具体的な質問をしてみましょう。この話し方は、ビジネスでも応用が利きますので、ぜひお試しください。そういえば、このコラムを書いている茂木さんって、イケメンらしいですよ。みんなそう言ってます。(ICT教育研修研究所所長 Steve Mogi/SANKEI EXPRESS

 ■茂木康有 ICT教育研修研究所所長。米独豪州の企業5社で延べ30年勤務。2010年にICT教育研修研究所を設立し、企業、学校などを対象に研修、セミナーを行っている。ictraining.jp

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