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怒りや悲しみを歌で優しく浄化 ハルカトミユキ

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怒りや悲しみを歌で優しく浄化 ハルカトミユキ

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 「今回は、特に聞かせ方を意識するようになりました。上手に歌おうというのではなくて、日本語としてちゃんと歌いたかったというか。うまいと思っても、歌を聴いても何も入ってこない人っていますからね」(ハルカ)

 ハルカ(Vo&G)とミユキ(Key&Cho)によるユニット、ハルカトミユキ。ハルカは大学時代に「31文字に無理やり押し込んでいる暴力的な感覚が好き」と、短歌に魅せられ、歌集を発表したほど言葉へのこだわりが強い。

 希望を込めて

 昨年6月に彼女たちの未完成で多感なライブを下北沢で初めて見て、その場で手作りの自主制作盤を購入。透明感あふれる美声とフォーク調の親しみやすいメロディーながら、不思議な音づかいと自虐や皮肉を伴って痛みや怒りを吐き出す歌が心を直撃し、虜(とりこ)になった。その後はe.p.を立て続けに発表するなど快進撃が続き、11月6日、初のアルバム『シアノタイプ』でメジャー移籍した。

 「メジャーだからという意識はなく、自分が聴いても納得できる曲を作ることにまず必死でした。“素直に”とか、“ちょっとポップに”というのは、その後になって考え始められた」(ハルカ)

 「曲数が多いので、歌詞の世界観と合わせながら、自分の個性をガンガン出す曲とそうでない曲を振り分けましたね」(ミユキ)

 「曲を作っていて、私がギターだけではどうしようもない時に、ミユキのヘンなフレーズが出てくると進むことは多いですね(笑)」(ハルカ)

 迎合することを嫌い、批判や怒り、悲しみがモチベーションになった歌が多いが、その感情をシニカルに包みながらも、最後には優しく浄化させていく歌もある。気持ちを運ぶ先には“希望”という美意識さえ感じられるのだ。また、遊び心を詰めた曲「振り出しに戻る」のように曲調の幅が広がったのは大きいし、素直な心とサウンドで子供の頃の記憶をつづった珠玉の歌「長い待ち合わせ」は特筆ものである。

 「“大人として我慢しよう”と思いながら成長していくうちに丸くなってしまい、昔だったら怒っていたセンサーが何とも思わなくなっている瞬間が来るんじゃないか心配で」(ハルカ)

 23歳を迎えた2人が、そんな不安を抱えつつ、この社会をどう歌で斬っていくのか楽しみだ。(音楽ジャーナリスト 伊藤なつみ/SANKEI EXPRESS

 ■ハルカトミユキ 大学のサークルでハルカ(左)とミユキ(右)が出会い、お互い異端児だったことから意気投合し、結成。ハルカは銀杏BOYZ、ミユキはニルヴァーナのファンだったという。昨年11月にe.p.『虚言者が夜明けを告げる。僕たちが、いつまでも黙っていると思うな。』でインディーズからデビュー、今年3月にe.p.『真夜中の言葉は青い毒になり、鈍る世界にヒヤリと刺さる。』発表。ともにタイトルが短歌になっている。代表曲は「Vanilla」「マネキン」など。

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