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【Q&A】会計検査院 内閣から独立 税金の無駄遣いチェック

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【Q&A】会計検査院 内閣から独立 税金の無駄遣いチェック

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 会計検査院が2012年度の決算検査報告を提出しました。

 Q 会計検査院は何をするところですか

 A 税金や国債の発行で集めた国のお金が適正、有効に使われているかチェックする国の機関です。問題点が見つかれば、改善を求めます。毎年決算を調べ、秋に決算検査報告として首相に提出するほか、国会から検査要請のある事案はまとまり次第報告します。

 Q 組織はどうなっていますか

 A 外部からの制約を受けないように国会や内閣から独立しています。定員は1258人で多くが調査官として働き、中には理系の大学院出身者や公認会計士の資格を持つ人もいます。

 調査を基に、3人の検査官が合議で最終的な意思決定をします。検査官は国会の同意で選ばれ、現在は、元検査院職員、学者、公認会計士で構成されています。

 Q 調べる対象はどこですか

 A 国の各省庁や国が2分の1以上出資する法人などです。出資法人がさらに出資した企業も対象で、例えばJR北海道や四国、NTT東日本、東京電力があります。法律上、検査には応じなければいけません。

 Q どのように調べるのですか

 A 予算の執行状況を示す計算書や、領収書などの証拠書類の提出を受け実施する書面検査と、事業の現場や出先にある事務所を実際に訪ねて事情を聴いたり状況を調べたりする実地検査があります。

 Q 10年前は数百億円だった無駄遣いの指摘金額が、ここ数年で数千億円と大幅に増えました

 A 国の厳しい財政状況を踏まえ、使う見込みのない公益法人の基金、独立行政法人が保有したまま余っているお金や土地を国に返すよう求めることが増えたのが要因の一つです。

 09年度の決算報告では、独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」に約1兆2000億円の余剰資金があることを指摘しました。

 Q 今回は高速道路上にある跨道橋の点検状況を調べました。無駄の指摘とは違います

 A 「国有財産が有効に使われているのか」という観点から道路やトンネル、橋の安全性を調べることもあります。

 会計の書類を見るだけでなく、時代の要請に応じて多角的に事業や政策の問題点を捉えます。

 Q 東日本大震災関連も調べていますね

 A 巨額の税金が投入されているため、国会から検査要請がありました。予算を通じて分かる復興の進み具合や公共施設の耐震化・津波対策のほか、実質国有化した東電も初めて調査しました。

 無駄の指摘だけでなく、現状をまとめる意味合いもあります。来年度以降も継続して調べます。

 ≪橋の柱補強 重量増し耐震不足に≫

 会計検査院の決算検査報告で、国や自治体が橋の耐震補強のために実施した18工事で、橋を支える柱を補強したため柱の重さが増し、土台部分の耐震性不足を招いていたことが分かった。

 国の補強工事への支出は、自治体への補助金を含めて9600万円。検査院は、国土交通省に追加工事の検討と、耐震補強の考え方を自治体に周知するよう求めた。

 指摘対象は、岐阜国道事務所や茨城県、金沢市などが2011~12年度に実施した工事。鉄筋コンクリートを巻いて柱の耐震性能を向上させたが、重量増を考慮しておらず、土台の耐震性が不足してしまった。

 橋の耐震工事については、日本道路協会の資料で「柱の補強のみならず土台や落橋防止システムと合わせて検討し、橋全体として耐震性能を確保する」とされている。

 国交省国道防災課によると、阪神大震災で柱が損傷し高速道路が倒壊した反省から限られた予算で柱の耐震工事を優先しているという。防災課は「検査院の指摘は重要と考えており、対応を今後考える」としている。(SANKEI EXPRESS

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