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全身全霊で挑んでいます 舞台「ライクドロシー」 長澤まさみさんインタビュー

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全身全霊で挑んでいます 舞台「ライクドロシー」 長澤まさみさんインタビュー

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稽古前、片桐仁が小道具を作るのを、そばでじっと見つめていた長澤まさみ。“キャラが濃い面々”との共演を心から楽しんでいるようだ(瀧誠四郎撮影)  ホームではなく、アウェーでの挑戦、とでもいおうか。テレビや映画を主戦場にする女優、長澤まさみ(26)が今、本多劇場(東京)で上演中の「ライクドロシー」(作・演出、倉持裕)で2度目の舞台に立っている。「来る仕事をこなす、というのを繰り返すだけでは、必ず行き詰まる時が来る。幅を広げ、今後につなげていくため、今やらなきゃいけない」。それが、下北沢の小劇場に長澤が立つ理由なのだという。

 「ライクドロシー」は、児童文学の名作「オズの魔法使い」を下敷きに、倉持裕(41)がブラックユーモアを効かせて仕立てた、ファンタジー喜劇。冷酷な女市長(銀粉蝶)が牛耳る島を舞台に、市長の小間使いとして働くマッツ(長澤)と島に流れ着いた3人の脱獄囚が、島の平和を取り戻そうと市長に挑む。

 「正義感が強く、愛情深い、けれど意地悪な感じもある女の子」と評するマッツは、実は倉持が長澤をイメージして書いた。「意地悪さは、たしかに私の中にもありますね」。かわいい顔で平然と認めるあたり、小悪魔的な魅力が漂う。

 小悪魔マッツに弱みを握られ、ちゃっかり働かされる3人の脱獄囚には、高橋一生(32)、片桐仁(39)、塚地武雅(41)。演技も個性も濃厚なこの面々と長澤が、丁々発止、小気味のよいやりとりを重ねながら、いかに物語を深めていくかが見どころだ。「3人とも芸達者で、キャラが濃い。私はその個性に追いついていない感じ。でも負けて流されていかないように、全身全霊で挑んでいます」

 簡単なことなんてない

 長澤は、まるで計算ドリルを繰り返す小学生のように「繰り返し練習を重ねていくことで芝居を身につけていった」と語る。とはいえ演技に正解やゴールがあるはずもなく、稽古中に時折、悩んだ。

 そんな時、片桐が「このシーン、腑に落ちてないでしょう?」と声をかけてくれたのが、うれしかったという。「倉持作品の経験がある(片桐)仁さんから助言をいただくと、ストンとせりふが腑に落ちて一気に解決したんです。現場でお芝居にアドバイスをもらうことはあまりないから、うれしかったですね」

 どれだけ演技を突き詰めても「もう満足」とは思わない。「簡単なことなんて、何ひとつないですから」と淡々とした口調なのに、時折大きく見開く瞳から飽くなき好奇心がのぞく。それはまるで、計算ドリルを解くような日々がどれほど充実しているかを物語るかのようだった。(文:津川綾子/撮影:瀧誠四郎/SANKEI EXPRESS

 ■ながさわ・まさみ 1987年、静岡県出身。2000年に第5回「東宝シンデレラ」グランプリ受賞。03年、初主演映画「ロボコン」を皮切りに映画やドラマの数々で活躍。現在、ドラマ「都市伝説の女」(テレビ朝日系)、映画「潔く柔く」(新城毅彦監督)に出演中。初の海外映画となる「太平輪(原題)」(ジョン・ウー監督、14年公開予定)では、金城武、チャン・ツィイーと共演している。

 【ガイド】

 11月24日まで 本多劇場(東京)。森崎事務所(電)03・5475・3436。11月30日、12月1日 サンケイホールブリーゼ。ブリーゼチケットセンター(電)06・6341・8888。※静岡、愛知、島根、広島、福岡でも公演

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