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ギリシャ大統領警備隊 難関突破した「エリート傭兵」

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ギリシャ大統領警備隊 難関突破した「エリート傭兵」

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ギリシャ・首都アテネ  2009年に財政危機が表面化して以来、ユーロ圏や国際通貨基金(IMF)からの支援を受けて財政再建中のギリシャ。政府が財政緊縮策の一環として6月に突然、国営放送を閉鎖し職員らの大量解雇に踏み切ったのをはじめ、来年末までに公務員約1万5000人を解雇する法案を可決するなど、暗い話題ばかりが伝えられる。このほどロイター通信が、大統領官邸や国会議事堂などを警備する「Evzones(エブゾン)」と呼ばれる精鋭部隊の写真を送ってきた。あまり知られていない彼らの活動の一部を紹介しよう。

 エブゾン(傭兵)と呼ばれる大統領警備隊は1868年に創設され、主に儀式的役割を担う「儀仗兵」だが、ギリシャ軍から厳しい選抜過程を経て選ばれた超エリートで構成される。整った身なりや鍛え抜かれた強靱(きょうじん)な体、エブゾンにふさわしい資質の証明が求められる。

 ふさわしい資質とは、生命の危険にさらされても上官に命じられるまでは決して持ち場を離れないことなどだ。また、ひとたび反政権デモや抗議デモなどが発生すると前線に立って警備に当たるほか、大統領の外国訪問の際にも同行するという。まさに栄誉ある任務を担っている。

 ≪伝統の衣装 誇りと使命を胸に≫

 伝統的なエブゾンの衣装は、400本のプリーツが入った「フスタネーラ」と呼ばれるスカートに、爪先に黒毛糸のポンポンのついた独特な形の赤い革靴だ。靴は片方だけで1.4キロもあり、衣装全体ではなんと20キロにも及ぶという。袖の広いブラウスと靴下も白で合わせていてまるで民族舞踊の衣装のようだ。

 スカートは一般的なフレアスカートと同じ手法で作られ、プリーツの400本という数は、1453年から約400年にわたってトルコに占領支配をされたことにちなむものだという。また、靴の爪先のポンポンは、独立戦争の頃に靴にしのばせた刃物の刃先を隠すためにつけられたという。

 エブゾンは、毎日曜の午前11時からアテネにある国会議事堂の無名戦士の碑の前で華麗な交代式を行う。その際、足並みが完璧にそろった行進や軍楽隊の演奏などを市民や観光客も楽しむことができる。(EX編集部/撮影:ロイター/SANKEI EXPRESS

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