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経財諮問会議 法人税実効税率で提言「25%に引き下げを」

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経財諮問会議 法人税実効税率で提言「25%に引き下げを」

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法人税の実効税率の国際比較=2013年4月時点、※日本は復興増税分を除く  安倍晋三首相(59)は1月20日に開かれた経済財政諮問会議で、地域経済の活性化策を議論する関係閣僚会議を月内に開き「民間議員の提案を含め、取り組みを大きく発展させたい」との方針を示した。

 民間議員は海外から日本への投資を拡大するため、法人税の実効税率を現行の35%程度(東京都の場合、復興増税分除く)から中国や韓国と同水準の25%程度へ約10%引き下げるよう提言した。

 首相は「今年は(デフレ脱却に向けた)好循環実現の正念場だ。経済再生と財政再建の両立を目指していく」と強調した。内閣府は国内総生産(GDP)と比べた国と地方の基礎的財政収支の赤字が2015年度に3.2%となり、10年度(6.6%)から半減する政府目標を達成するとの試算を示した。

 首相は会議で、IT化や業務改革を通じて行政コストを大幅に削減する方策の検討も指示。日本への投資倍増に向けては、海外企業の意見も踏まえた課題を整理して諮問会議に報告させる。東京五輪が開かれる20年までの課題など中長期のテーマを議論する専門調査会を置くことも決めた。

 民間議員が求めた法人税率引き下げに対しては、麻生太郎財務相(73)が10%の税率下げで約5兆円の減収になると説明。代替財源を確保するには、特定の業界を優遇する租税特別措置の抜本的見直しや、他の税目での増収策が必要と指摘した。

 財政収支の試算は、消費税率の10%への引き上げなどが前提。税収増で15年度の赤字は13年8月の試算(3.3%)より0.1ポイント改善するが、20年度も1.9%の赤字が続くと見込む。20年度に収支を黒字にするとの目標は達成できない見通しで、さらなる収支改善が必要とした。

 ≪税制改正「本丸」 財務省は徹底抗戦≫

 税制改正の“本丸”の議論がいよいよ始まった。1月20日の経済財政諮問会議で民間議員が提言した法人税の実効税率引き下げ。企業側は、日本への投資を呼び込もうと前向きな姿勢を示す安倍晋三首相を後ろ盾に、引き下げへの道筋をつけたい考え。一方、税収減を避けたい自民党税制調査会や財務省は慎重姿勢を崩さない。年末の2015年度税制改正に向け、ロングランの論戦が展開されそうだ。

 アジア諸国並みに

 「法人実効税率をアジア諸国並みに引き下げることを目指し、速やかに検討すべきだ」。佐々木則夫東芝副会長(64)ら諮問会議の民間議員4人は、20日の会合に示した「対日直接投資の促進に向けて」と題する提言で、実効税率の引き下げについてこう言及した。

 国・地方を合わせた法人実効税率は14年度で35.64%(東京都)とアジア諸国の20%台に比べ突出して高い。経済界では高い法人実効税率が国内産業の空洞化を招き、外資企業の進出を阻害しているとして引き下げを求めている。安倍首相も日本経済の再生には、企業の業績回復が不可欠との認識から、引き下げに理解を示している。

 財務省は“火消し”に懸命だ。麻生太郎財務相は20日の会合で、民間議員の提言にすかさず反論。法人実効税率を1%下げれば4700億円の税収減、アジア諸国並みの25%まで下げれば5兆円の減収になるとの試算を示し、「これだけの減収を伴う税率引き下げを財源確保なくして行うことはできない」と徹底抗戦の構えを示した。

 代替財源見いだせず

 財務省はかねて、国内企業の7割が法人税を払っていない現状での税率引き下げは効果が大きくないと主張。また実効税率引き下げを行う際には財政規律に配慮して、特定業界に政策減税を行う租税特別措置の見直しなど代替財源の確保が必要との立場だ。租税特別措置の法人税分年9000億円は、法人税率は約2%に相当する。

 ただ、こうした政策減税は、税制改正議論の実権を握る自民党税調が、各業界の要望に応えて実現した例が多く、見直しへの反発は避けられない。法人税率引き下げの確かな代替財源は、見いだせていない状況だ。

 法人税の実効税率に引き下げは、14年度税制改正大綱に「速やかに検討を開始する」と盛り込まれている。この言葉通り、新年早々「検討を開始」した今回の経済財政諮問会議。ただ、結論を得るのは容易ではない。(今井裕治/SANKEI EXPRESS

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