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感動を大事に 路上からメジャーへ USAGI
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メジャーデビューしたUSAGIの上田和寛(たかひろ、左)と杉山勝彦=2013年11月2日(提供写真) USAGIは3年前、ストリートで歌っていた上田和寛(たかひろ)に、ギターでソングライターの杉山勝彦が声をかけ、去年結成された2人組の音楽ユニットである。1月29日にシングル「イマジン」でメジャーデビューした。
「上田は自分の曲を自分でものすごく感動しながら歌ってたんです」。路上での出会いについて、杉山はこう振り返る。その後、杉山が作曲家として他のアーティストに楽曲提供をする際に、仮歌(ガイドとして入れるボーカル)を上田にやってもらっていたそうだ。大阪在住の上田と東京在住の杉山は、楽曲とボーカルのデータのやり取りを続け、2人の関係は作曲家と発注を受けて曲にボーカルを入れる協力者といった感じであった。
それから2年がたち、路上で声をかけて以来会っていなかった2人が、せっかくだからと話をすることになった。「こんないい曲を書く人と一緒に音楽をやれるなら、すごいチャンスだと思った」という上田がバンド結成を持ちかけた。
それぞれで活動し、上田に楽曲提供するなら話は早いだろうが、なぜ2人でバンドをやることを決意したのか。音楽に対する姿勢やビジョンも合う2人だが、そこには杉山が大切にしている音楽へのこだわりがあった。
「僕は曲を作りながら泣いてしまうぐらい、感動を大事にしているんです。上田君は僕の書いた曲をすごく感動しながら歌うんですよね」
そもそも結成前から、上田のボーカルのパワーや熱意に無意識のうちに影響を受け、他のアーティスト向けの楽曲を作りながら、上田のボーカルのキーに合うような曲を自然と作ってしまうこともあったそうだ。
バンドとして活動するなら、ちゃんとステージパフォーマンスができなければだめだ、というポリシーもあって、ストリートパフォーマンス、ライブハウスでのワンマンライブなどでUSAGIとしての形を作っていった。
作り出す音楽が売れるかどうかよりも前に、まずそれを作り出して歌う本人たちが感動できるものでなければいけない。そして感動がなければ次へ向かう意欲にもつながらない。手練の作曲家の心を震わせたシンガーの、迫力と説得力のあるボーカル。それに呼応するように展開されていくスケール感のある楽曲は、これからたくさんの人を感動させていくだろう。(音楽ジャーナリスト 藤田琢己/SANKEI EXPRESS (動画))