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いつも何か新しいものを追い求める 映画「スノーピアサー」 ポン・ジュノ監督インタビュー

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いつも何か新しいものを追い求める 映画「スノーピアサー」 ポン・ジュノ監督インタビュー

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「実は原作はアジアでは韓国でしか発売されていないもの。漫画ファンとしては本当にうれしかった」と語るポン・ジュノ監督=2014年1月30日、東京都渋谷区(栗橋隆悦撮影)  韓国のポン・ジュノ監督(44)が、クリス・エバンス(32)、ティルダ・スウィントン(53)、オクタビア・スペンサー(43)ら欧米の豪華キャストを迎え、SF作品「スノーピアサー」を初めて英語で撮った。本作でも、さまざまな形でむき出しにされる人間の本性をこれでもかとばかりに提示した。言葉の壁については、身ぶり手ぶりで指示したこともあったが、「ちゃんと乗り越えられましたし、言葉の壁を恐れる必要もない。たとえスタッフが外国人であったとしても、しっかりと脚本の真意を理解してくれれば、影響はありません」と振り返った。

 普通の人が立ち向かう

 2014年、地球温暖化を防止しようと、世界中で「CW-7」と呼ばれる薬品が散布されるが、逆に地球に氷河期を招いてしまう。数十年後、かろうじて生き延びた人々は、猛スピードで地球上を疾走する「スノーピアサー」と呼ばれる列車の中で暮らしていた。列車には厳格な“カースト”制度が存在した。列車の前方にはわずか数%しかいない上流階級が暮らし、食堂車に備え付けのすし店で握りを食べ、高い酒を飲み、高級な肉でステーキを調理したりと、ぜいたくの限りを尽くす一方、後方の車両には人口の大部分を占める貧しい人々がすし詰めにされ、水も満足に飲めない状況となっていた。そんな中、カーティス(エバンス)は革命を起こそうと、仲間と一緒に前方車両を目指すのだが…。

 フランスのグラフィックノベル「Le Transperceneige」を原作とした本作は、韓国を舞台にしたこれまでの彼の代表作とは、登場人物の国籍はもちろんのこと、ビジュアル的に似ても似つかない作風であり、はたして欧米の監督が撮ったのではないかとすら思えてしまう。監督は「僕はいつも何か新しいものを追い求めるタイプだから、1つの場所にとどまって同じことをするなんて退屈で、耐えられない体質なのかもしれません。僕が撮った『グエムル 漢江の怪物』『母なる証明』などは、冒険的な選択をした結果、生まれたものであり、その都度、自分の中にわき起こる『やってみたい』という衝動に、偶然的な要素が加味されてできた作品ともいえますね。『スノーピアサー』も同様です」と説明してくれた。

 ただ、過去の作品と共通点があるとすれば、主人公の設定だ。「権力を持たない、平凡な暮らしを送る人々が極端に過酷な生活を強いられるような状況に置かれて、何か大きなことを成し遂げようと立ち向かう-そんな人物を描いてきたつもりです」。確かにこれまでの作品でも、さえない刑事や、知的障害を持つ息子を育てながらつましく暮らす年老いた母親を主人公に据え、降りかかってきた困難を突破していく姿を力強く表現してきた。

 絵コンテは自分で書く

 監督は自他ともに認める漫画のコレクター。実際に絵心もあり、幼少の頃は漫画家になりたかったほどだ。大学時代には学生新聞で4コマ漫画も描いていただけに、監督になってからも、絵コンテはほとんど自分で書くそうだ。「2005年、よく足を運ぶ韓国の書籍店で『スノーピアサー』の原作を見つけたとき、その世界観に魅了され、その場で映画化を決意したんですよ」。『スノーピアサー』の絵コンテの半分は自分で描いたという監督が、どんなビジュアル的な味付けをしたのかも注目だ。全国公開中。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:栗橋隆悦/SANKEI EXPRESS (動画))

 ■Bong Joon-Ho(奉俊昊) 1969年9月14日、韓国・大邱(テグ)生まれ。延世大学社会学科を卒業後、映画監督に。主な監督作は、2000年「ほえる犬は噛まない」、03年「殺人の追憶」、06年「グエムル 漢江の怪物」、08年「TOKYO!」(オムニバス映画)、09年「母なる証明」など。

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