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【日本列島まるかじり】ポカポカ砂蒸し温泉 南国リゾート 鹿児島・指宿

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【日本列島まるかじり】ポカポカ砂蒸し温泉 南国リゾート 鹿児島・指宿

更新

3月から休暇村指宿で提供される「鹿児島プレミアム~旬の初鰹と桜鯛~」のコース。ハーフバイキングのシステムになっており、豊富な献立がそろうバイキングエリアの料理も食べられる  ≪グルメ、景観、優しさに満たされて≫

 “温泉天国”と言われる九州の中でも、ひときわ高い人気を誇る鹿児島県の指宿温泉。地熱を利用した世界にも珍しい砂蒸し温泉は、日本人なら本やテレビで目にしたことがあるのでは。海と山に囲まれた風光明媚な景色に加え、名産のカツオで作った薩摩料理も大きな魅力。寒い関東から脱出し、大自然に囲まれた“南国リゾート”指宿で、春の訪れと旬の味を堪能した。

 大きな2つの半島が南北に延びる鹿児島県。その西側、薩摩半島の南端に位置するのが砂蒸し温泉で知られる指宿だ。本州から遠いイメージもあるが、羽田から鹿児島空港は飛行機で約1時間45分、そこから指宿までレンタカーを利用すれば1時間半程度。午前10時の飛行機で出発、昼過ぎには指宿に到着した。

 指宿で車を降りると、真冬とは思えない温暖な気候に驚く。まずは指宿名物の砂蒸し温泉を体験するため霧島錦江湾国立公園内にある宿泊施設、休暇村指宿に向かった。休暇村の営業係長、大沢智行さんによれば、指宿の砂蒸し温泉は300年以上前から親しまれ、現在も数軒が運営しているという。「地熱を利用しているので、15分も入れば体の芯からぽかぽかになりますよ」

 地元カツオの豪華なコース

 脱衣所で作務衣に着替え、さっそく海岸沿いにある砂蒸し温泉へ。風呂にはスコップを持った男性スタッフが数人待機し、「ここに寝てくださいね~」と人の大きさほどの穴をすぐに掘ってくれた。穴のなかに横たわると、あっというまにスコップで砂を掛けられ、地熱がじんわりと体全体を包み込む。男性スタッフに「指宿はきょうも暖かいですね」と話しかけると、「ええっ! きょうはこの冬一番の冷え込みだよ」と驚かれた。

 砂蒸し温泉から海を眺めると、南の約1キロ沖合にある無人島の「知林ケ島(ちりんがしま)」が見える。大沢さんによれば、3~10月には長さ約800メートルの砂の道が出現し、島まで歩いて渡ることもできるのだとか。「渡れるのは、砂の道が現れる引き潮のときだけなんです。縁結びの島とも言われているので、大切な人と渡ってみては」

 この日はそのまま休暇村に宿泊することに。部屋で一休みしてから、夜は3月からスタートする旬の初鰹づくしのコースを一足早く堪能させてもらった。指宿の西に位置する枕崎は日本有数のカツオの水揚げ港で、特に地元の漁師が一本釣りしたカツオは「枕崎ぶえん鰹」と呼ばれ、数は少ないが高級品としても知られる。コースでは地元のカツオを使ったお造りや鍋、フォアグラを乗せたステーキなどが楽しめる欲張りな献立だ。

 かつお節削り放題ラーメン

 翌朝、休暇村を後にしてレンタカーを走らせ、指宿の街の中にあるラーメン店「ラーメン二代目」に向かった。指宿は最高級のかつお節「本枯れ節」の生産量日本一としても知られるが、ラーメン二代目では町おこしの一環としてこの本枯れ節を使ったメニューを考案。その一つが、本枯れ節をかつお節削り器で好きなだけ削ってラーメンに乗せて食べる「超勝武士ラーメン」だ。店長の伊牟田圭さんによれば、本枯れ節は世界一硬い食べものとしてギネスブックに認定されているという。「とても高価なかつお節ですが、本枯れ節の魅力を知っていただけるなら…頑張ります!」

 さっそく自分で本枯れ節を削り、超勝武士ラーメンに挑戦した。削りたてのかつお節からは上品な香りが立ち上り、麺と一緒に食べると口の中には独特の風味が広がる。シンプルでありながら静かに余韻を残す味は、これまでのラーメンにはなかった魅力があった。

 ふわふわ甘い黒糖の郷土菓子

 おなかいっぱいになったところで、指宿から北へレンタカーを約30分走らせ、江戸時代の町並みが残る知覧に立ち寄った。島津藩のお膝元として知られる知覧には、当時の雰囲気をしのばせる石垣の日本庭園が残り、町並みを眺めながらの散策は人気がある。

 街の一角にある茅葺き屋根の売店に寄ると、「げたんはとお茶で一休みしてくださいね」と声を掛けられた。「げたんは」とは黒糖で作られる鹿児島の郷土菓子で、ふわふわの食感とコクのある甘みで地元民に愛されてきたという。その場で温めてくれたげたんはと、いれたてのお茶のセットで150円。庶民的な価格も、このお菓子が愛されてきた理由かも知れない。

 旅の疲れ癒やす足湯

 知覧の街を後にし、再び鹿児島空港へ。飛行機まで少し時間があったので、空港の出入り口にある天然温泉の足湯「おやっとさぁ(鹿児島弁でお疲れさま)」で短い旅の疲れを癒やした。鹿児島はあちこちに足湯が作られているが、豊富に温泉が湧く地域ならではの計らいだ。

 ブルーの海が広がり、温泉が湧き、新鮮な海の幸を堪能できる鹿児島・指宿。温泉も気候も、そして人も、温かな余韻が心に残る旅だった。(今泉有美子、写真も/SANKEI EXPRESS

【ガイド】

 ■休暇村指宿 鹿児島県指宿市東方10445。(電)0993・22・3211。宿泊代はプランによって異なる。鹿児島プレミアム「初鰹と桜鯛」とハーフバイキングの夕食・朝食バイキングがついたプランは、1泊2日で1万2800円~(2名以上の利用で1名の料金)。www.qkamura.or.jp/ibusuki/

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