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節目のシーズン 「新しい」に揺れる心 平松昭子

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節目のシーズン 「新しい」に揺れる心 平松昭子

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節目のシーズン_「新しい」に揺れる心(イラスト:平松昭子さん提供)。http://kimonosnack.blogspot.com  【和のスタイル】

 3月もいつの間にか下旬です。タクシーの窓から近所の幼稚園の門に卒業式の看板が立てられているのを見て、思わず「あ、卒業式!」と言うと隣にいた恋人は「ふーん」とだけ。私はいくつになっても、卒業式、入学式には反応してしまいます。式とつくものに参加するのは苦手ですが、節目を大切にする気持ちは好きです。くぎりをつけて、新しい出発をすることは、だらだらとからまりながら伸び続ける蔦とは違い、毎年球根から芽を出し花を開かせるチューリップのよう。球根は、花が咲いたらすぐ切って、栄養を取られすぎないうちに土から出して、新聞紙に包み暗闇で保管するのがいいそうです。でも面倒くさいのでわが家の球根はずっと土の中。それでも今年もきれいに咲きました。

 春から高校2年生になる息子は、保育園から数えると、卒業式を3回、入学式を4回経験しました。私は彼の高校の卒業式には行かないと思うので、これからはまた自分の節目をしっかり味わっていきたいです。

 先週、明治記念館(東京・元赤坂)で、京都に本店のある呉服店、えり善さんの展示会がありました。ろうけつ染めの美しい着物を試着させていただきました。今までは、どちらかというと分かりやすいきれいな色、ユーモアやかわいらしさのある柄を選んできました。この着物は、抽象的で潔くかっこいい柄に、渋くて少しくすんだ大人のピンク色が地色です。

 こういう着物も似合うようになってきたことは、自分が年をとったことを認めることにもなり、同時に新しい人生のステージが始まるようなうれしさもあります。私は新しいという感覚に弱く、その着物がどうしても欲しくなって一晩うなされました。

 しかし、先月リビングのリフォームをして、同じくらいの大金を払ったばかり。ぐっとがまんしました。今朝、庭の掃除をしてポストを見ると、呉服屋さんからお葉書が。あの着物をぜひご検討くださいと書かれていて、私の決心はまた、ゆらゆらと揺らいでしまいました。(イラストレーター 平松昭子/SANKEI EXPRESS

 ■ひらまつ・あきこ 1970年、愛知県生まれ。広告プロダクション退社後、フリーのイラストレーターに。ファニーでエレガントなイラストで人気を集め、現在は「GLOW」でコミックエッセーを連載中。「kate spade new york」日本公式ブロガー。水墨画や日舞をたしなみ、着物を愛好する。著書に「お洒落きものイズム」(グラフィック社)など。LINEのスタンプ「ラヴ&ゴージャス」が発売中。kimonosnack.blogspot.com

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