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事実上の「大使館」喪失に焦る朝鮮総連 東京地裁が売却許可

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事実上の「大使館」喪失に焦る朝鮮総連 東京地裁が売却許可

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1986年に建造された渦中の在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部=2014年3月24日、東京都千代田区富士見(瀧誠四郎撮影)  在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部(東京都千代田区富士見)の土地建物の競売で、東京地裁は3月24日、再入札の結果22億1000万円で落札した高松市の不動産業「マルナカホールディングス」への売却を許可する決定を出した。総連は即日、決定を不服として東京高裁に執行抗告を申し立てた。高裁が抗告を退けるまで所有権は移転せず、明け渡しにはならないが、事実上の「北朝鮮大使館」ともいわれる総連の退去は時間の問題となった。だが、半世紀にわたる「牙城」を明け渡すともなれば、朝鮮総連と北朝鮮との関係に与える打撃は計り知れない。

 競売手続きは、在日朝鮮人系信用組合の不良債権問題で朝鮮総連に約627億円の債権を持つ整理回収機構の申し立てを受け、開始された。昨年(2013年)3月の最初の入札では、総連の意をくんだとされる鹿児島市の宗教法人・最福寺が45億1900万円で落札したが、資金繰りがつかずに購入を断念。10月の再入札では、50億1000万円で落札したモンゴル企業「アヴァール・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー」の提出書類に不備があり、東京地裁は売却を認めなかった。地裁は3回目の入札は行わず、今月(3月)20日に落札者を決める「開札」をやり直し、モンゴル企業以外で再入札に唯一参加していたマルナカが落札していた。

 「法的根拠ない」

 総連中央本部の陳吉相(チン・ギルサン)権利福祉局長は24日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、「法的根拠のない判断であり、マルナカは棚ぼたの利益を得た。3度目の入札をすればより高額で売却された」と主張。執行抗告した理由については「返済額が減ってしまうのが許せない」と債務者としての立場を強調。売却許可が確定すれば所有権はマルナカに移るが「重要なのは返済の金額だ。(中央本部の)明け渡しについては最終決定が出てから考えたい」と今後の対応を明言しなかった。

 一方、マルナカの白井一郎顧問弁護士は24日、高松市内で記者会見を開き、「総連に貸すことは考えていない。所有権取得後は速やかに明け渡しを求めていく」と明言。その上で「あくまで投資目的で入札した。思想・政治的背景はない」と強調した。

 「抗告は時間稼ぎ」

 東京地裁が今回の開札やり直しを発表する直前まで、総連の執行部は「うまくいく」との認識を示していた。総連関係者によると、3回目の入札までに、再開した日朝交渉の中で、北朝鮮本国が日本政府に政治的決着を働きかけるとの期待があったという。が、民主党政権時代にはしきりに政治的解決を求めてきた北朝鮮は(3月)20日、中央本部問題で協議を荒立てることなく、局長級協議開催にあっさり合意した。交渉のテーブルに本部問題が上がる間もなく、立ち退きとなる可能性がある。

 執行部にとって当面の懸案は、全国の朝鮮総連幹部が集まり5月下旬に開催予定の全体会議だ。本部問題で非難が集中し、許宗萬(ホ・ジョンマン)議長らの再選も危ぶまれるからだ。関係者の一人は「抗告したのも会議を乗り切るための時間稼ぎにすぎない。他に打つ手がないのが実情だ」と説明した。

SANKEI EXPRESS

 ■朝鮮総連 在日朝鮮人の権利擁護を目的として1955年5月に結成された。JR飯田橋駅から徒歩4分の場所に中央本部を置き、全国に地方本部がある。商工業者、女性、青年らの傘下団体が組織され、朝鮮学校とも密接な関係を持つ。最大拠点で競売対象の中央本部は、土地約2390平方メートルと地上10階、地下2階建てのビル(延べ床面積約1万1740平方メートル)から成る。

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