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気持ちは当時と何一つ変わっていません 藤岡弘、さんインタビュー

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気持ちは当時と何一つ変わっていません 藤岡弘、さんインタビュー

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「テレビの仮面ライダーシリーズは僕が撮影中に『再起不能』とまで言われた大けがをしなかったら生まれなかったかもしれない。僕の大けがは無駄ではなかった」と語る藤岡弘、さん=2014年3月9日、東京都中央区(提供写真)  □映画「平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊」

 特撮テレビドラマ「仮面ライダー」シリーズの全ライダーが登場する、ファンにすれば夢のような映画だ。その名も「平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊」。元祖・仮面ライダー1号から仮面ライダーJまでの「昭和ライダー」15人と、仮面ライダークウガから仮面ライダー鎧武(ガイム)までの「平成ライダー」15人が対決してしまうのだ。出演者の中でも物語の要として重要な役割を担ったのが、1971年にシリーズ第1作で仮面ライダー1号/本郷猛を演じた藤岡弘、さん(68)だ。藤岡さんはSANKEI EXPRESSの取材に「僕は今の若者たちにぜひとも伝えたいことがあり、38年ぶりに変身ポーズを披露しようと決断しました。僕の気持ちは当時と何一つ変わっていません。日本の未来を担う子供たちのお手本になろうと、高揚しています」と力強く語った。

 肉体を使う真剣勝負

 藤岡が出演の打診に応じたのは、今の若者たちに感じる心もとなさに居ても立ってもいられない気持ちがあったからだという。「私は国際俳優、ボランティア、武道家としての活動を通して、世界100カ国以上を見聞してきました。そこで感じたのは、世界の若者は己の国をしっかりと守ろうという気概に富んでいたことです。そんな思いを強めていたとき、仮面ライダーの映画出演のお話をいただいた。仮面ライダーが日本の若者たちに与える影響は多大なものです。若者だけではなく、放映当時、子供だった中年や団塊世代にまでメッセージを伝えることができるほどですよ」

 “苦言”の矛先は「平成ライダー」にも向けられた。「脆弱に見えるということで言えば、僕は仮面ライダーの元祖として『昔のライダーとは違うぞ』という部分を強調したいですね」と藤岡。「平成ライダー」は武器も映像もハイテク・デジタル化され過ぎているというのだ。「昭和ライダーはアナログの世界ですよね。それこそ攻撃といえば、キックとパンチしかありませんよ。肉体を使った真剣勝負だから、CGなんて考えられません。少なくとも僕は、スタントマンなしで勝負しました。二輪も自分で運転しました」

 バランスが大事

 ライダーへの変身の仕方一つとってみても、藤岡は「気」を入れて変身していないことが気になって仕方がない。「デジタル処理された映像もきれいではありますが、変身する本人の力強さ、精神の強さ、悪を倒すという意志の強さに欠けるんですね。もしきれいな映像を取っ払ってしまったら、変身する人に何も残らず、何のメッセージも伝えられない正義の味方になってしまう。両方のバランスが大事なんです」。そんな意味で、藤岡の意をくんだかのような本作のシナリオは「実によくできている」と、藤岡は頬を緩めた。

 「、」に込めた思い

 ところで、藤岡の名前の最後にある「、」はどんな意味なのだろう。「『。』では、物事が終わってしまいますよね。武道を追究する者として、いつでも物事に不退転の決意で臨み、流されず、初心を忘れないようにとの意味を込めました。自分を鍛え、自分を戒めるためのものです。字画で選んだとかではありませんよ」。俳優業の傍ら、自前の道場では、弟子たちに真剣の振るい方、棒術、馬の乗り方を教えている。「日本の映像界を背負う未来の若者を育てたい」との思いでいっぱいだそうだ。

 実は本作のエンディングは2種類用意されていて、ファン投票で平成ライダーと昭和ライダーの勝敗を決めることになっている。藤岡の気迫は平成ライダーに勝るのか。それとも…。全国で公開される3月29日、映画館で明らかにされる。(高橋天地(たかくに)/SANKEI EXPRESS

 ■ふじおか・ひろし 1946年2月19日、愛媛県生まれ。65年に松竹映画でデビューし、青春路線で活躍。スタントを使わない俳優として知られる。71年「仮面ライダー」で一躍ヒーローに。主な映画出演作は「日本沈没」「野獣死すべし」など。テレビドラマでは「特捜最前線」など。84年、米ハリウッド映画「SFソードキル」の主役に抜擢。柔道、空手、刀道、抜刀道などに精通する。海外の難民キャンプでの支援活動にも力を入れている。

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