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社会
きょうは世界自閉症啓発デー 低い認知度に衝撃「3年で追いつく!」
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2014年4月2日の「世界自閉症啓発デー」を多くの人に知ってもらうため活動する「Getintouch」の東ちづる理事長(左から2人目)=2013年10月6日(山下元気さん撮影、提供写真)
4月2日は国連が定めた「世界自閉症啓発デー」。この日のことをより多くの人に知ってもらうため、世界各地のランドマークがブルーに染まる。東京タワーでもブルーライトアップ点灯式(厚生労働省など主催)が行われ、一般社団法人「Get in touch」が、イベント「Warm Blue Day 2014」を開く。どうしてこのイベントを行うようになったのか。理事長を務める東ちづるが、この日への思いを語った。
私が、4月2日は国連の定めた「世界自閉症啓発デー」だと知ったのは、2012年の初夏でした。
それまで20年以上、難病の患者さんや障がいのある人、生きづらさを抱えた人、色とりどりの人たちと一緒に活動をしてきました。けれども、2007年の国連総会で、4月2日が「世界自閉症啓発デー」に決まり、各国のランドマークをブルーにライトアップする活動が行われていることを、知る機会がなかったのです。
米国の自閉症サポート団体「Autism Speaks」がニューヨークで開いた自閉症啓発の国際会議に出席。13カ国の代表者が自国の自閉症啓発や支援などの取り組みについて発表する中で、4月2日にどれだけの建物や街がブルーに染まり、それがどれだけ報道されたかが話題になり、初めて知ったのです。
あの時の衝撃は忘れられません。日本ではほとんど報道されず、認知されていない。ある国からは「自国の20年前のようだ」と驚かれました。そして、思わず私は「20年の遅れを、日本は3、4年で追いつきます」と口走っていたのです。もちろん何の考えも計画もありません。ただの勢いです。
それから約1年後の2013年4月2日、「Get in touch」はブルーに染まる東京タワーの下でライヴイベントに挑戦しました。「世界自閉症啓発デー」というお堅いネーミングの日をいかに身近に感じてもらうか。この日のことを、報道してもらうために何ができるか。自閉症という特性を知ってもらうにはどうすればいいのか。まさに挑戦でした。
当日は、バケツをひっくり返したような土砂降りの雨と強風でした。ですが、私たちの心配をよそに1400人以上の来場者が集まったのです。そこには、日本の本来の姿がありました。車いすの人、ダウン症の人、知的マイノリティーの人、セクシュアルマイノリティーの人、もちろん発達障がい、自閉症の人も。老若男女という枠を超えた色とりどりの人たち。マジョリティーもマイノリティーもないボーダーレス。まぜこぜの人たちでした。みんなでブルーキャンドルを手に歌い、リズムをとり、笑い、あっという間に時間が過ぎました。
もちろん課題もみえましたが、新たな社会への扉も開けたのではと実感できたのです。
はてさて、2014年の今日はどうなることやら。たくさんのまぜこぜの笑顔がつながりますように。
気軽に自由に遊びに来てください。
≪「安心して参加できる場所を」 東京都自閉症協会、今井忠理事長に聞く≫
自閉症の人たちを取り巻く環境や支援の現状について、NPO法人「東京都自閉症協会」の今井忠理事長(70)に聞いた。
自閉症は、脳の機能の違いが原因となる生まれつきの障がいの一つ。だが、その違いを説明することがとても難しい。毎日、接している親でも、本人の中で何がどう見え、どう感じられ、どう認識されているのか想像することができない。いつも「えっ! そう反応するの?」と驚かされる。
生物学的な意味での自閉症は増えていないらしい。にもかかわらず、教育や雇用などの社会生活で配慮を必要とする対象者は増加している。それは彼らにとって安心して能動的に関われる場所が得られにくくなっているからだと思う。今の日本では、自然という穏やかな環境が生活圏から消え、人為的、人工的なものばかりになった。情報が飛び交い、人との交渉能力が必要とされ、多数派の人たちを効率的に機能させる社会へと加速度的に進んでいる。
ちょっと昔には、農業や個人の商店といった、本人の特性を理解し、その力に応じた役割を任せられる多様な場があったのだ。この環境変化は特に自閉症の人たちにとっては過酷である。彼らの生きづらさの原因はそこにあると思う。
彼らは安心して参加できる場を必要としている。そしてそんな場を求めているのは、自閉症の人たちだけではない。彼らが生きやすい社会は、皆にとっても生きやすく安心できる社会なのだと思う。自閉症問題は、現代社会への警告なのではないか。(談/SANKEI EXPRESS)