SankeiBiz for mobile

アフガン 初の民主的政権交代へ

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの国際

アフガン 初の民主的政権交代へ

更新

 【国際情勢分析】

 アフガニスタンの大統領選が4月5日に投票される。現職のハミド・カルザイ大統領(56)は3選禁止規定で出馬できず、8人による戦いになっている。このうち、アシュラフ・ガニ元財務相、アブドラ・アブドラ元外相(53)、ザルマイ・ラスール前外相の3人が有力候補とされる。かつて内戦や権力闘争で混乱を極めてきたアフガンは、初めて民主的な政権交代を迎えることになる。

 あす大統領選、混乱か

 暫定結果は(4月)24日、最終結果は5月14日に発表される。選挙は混戦模様となっているため、過半数を取る候補はいないとの見方が強く、その場合は決選投票が5月28日に行われる。しかし、すでに約1200万人の有権者数をはるかに上回る登録者カードが出回っているとされ、前回選挙同様、結果をめぐって不正を訴える候補が出る可能性もある。決選投票は準備への手間取りもあり、大きく後へずれ込むと懸念されている。

 また、イスラム原理主義勢力タリバンは、選挙を妨害するテロを激化させている。今年になって、カブールの選挙管理委員会本部や外国人が集まるレストラン、高級ホテルなどを立て続けに標的にしており、国連職員など多くの外国人や記者も犠牲になっている。有権者は暴力の脅威の中で投票所へ足を運ぶことになる。

 選挙後に退任するカルザイ大統領は、2001年の米国による攻撃で国際テロ組織アルカーイダをかくまっていたタリバンの政権が崩壊して以降、12年以上にわたって新生アフガンを主導してきた。米欧、日本などからの巨額の支援を元に、内戦の荒廃からアフガンをよみがえらせることに尽力した。

 カルザイ氏功績は教育

 アフガンの政治評論家ハキヤー氏は、「大きな功績の一つは教育の向上だ」と述べる。

 かつてタリバンは女子教育を禁止し、男子からも近代的教育から遠ざけ、マドラサ(イスラム神学校)での宗教教育を強いてきた。タリバン時代に学校へ通っていた子供は120万人に過ぎず、中でも女子は5万人以下だったとされる。その後女子生徒数は劇的に増え、アフガン政府は、学校で学ぶ子供の数は1050万人を超えたとしている。

 社会基盤も向上し、ハキヤー氏は「以前はほとんどなかった舗装道路があちこちにでき、経済活動に貢献している」と指摘した。

 米国もアルカーイダの基地をたたき、首謀者のウサマ・ビンラーディンを殺害してテロ掃討で成果を挙げた。

 一方で、外国部隊の完全撤退やシャリーア(イスラム法)の厳格な適用を求めるタリバンは勢力を保ち、平和への脅威となり続けている。

 アフガンは、テロや交戦での巻き添え、さらに米軍による誤爆などもあり、多くの民間人の死者を出してきた。国連は昨年(2013年)、こうした犠牲者が前年から7%増え、2959人に上ったと発表した。統計を取り始めた07年以降で最悪だった11年と同水準だった。

 待ち受ける課題の数々

 タリバンの資金源になっているケシの栽培面積は昨年、過去最高の20万ヘクタール強に増加した。農民が依然、違法麻薬の材料となるケシに生活を依存し、代替作物への変更がいっこうに進んでいないことを示し、今年末までの国際治安支援部隊(ISAF)撤退後の混乱を不安視した農民がケシ栽培へ回帰しているとみられている。

 汚職の蔓延(まんえん)もやまない。世界の政治腐敗を監視している非政府組織(NGO)が昨年(2013年)発表した世界の「腐敗認識指数」によれば、アフガンは175位で、北朝鮮、ソマリアと並び世界最悪の汚職国家だった。国連の報告によれば、国民の半数が公共サービスを受けるために賄賂を払っているという。

 対テロ戦での甚大な犠牲や汚職への批判はカルザイ大統領に向き、政権と米国との関係の悪化は決定的になっている。タリバンとの和平交渉の開始は頓挫したままで、大統領は和平が見通せないことなどを理由にISAF撤退後の米軍の駐留を可能にする米兵の地位を定めた両国の安全保障協定への署名を拒否し続けている。

 大統領選の有力候補3人はいずれも署名に前向きな発言をしているものの、新大統領にはアフガンに積み残されたいくつもの課題が待ち受けている。(ニューデリー支局 岩田智雄(いわた・ともお)/SANKEI EXPRESS

ランキング