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生き方編 花嫁衣装の持つ意味を考える

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生き方編 花嫁衣装の持つ意味を考える

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 【美のカリスマ IKKOのちょっといい話 聞きたい?】

 人が身にまとう衣装には、たくさんの意味が込められています。花嫁衣装もその一つ。私はウェデングの着物のデザインも手がけているのですが、花嫁衣装が持つ意味というのを、常に考えています。

 光に包まれる演出効果

 式の際の花嫁の衣装は和装であれ洋装であれ、「純白」です。昔は普段、真っ白な服を着た人はほとんどいませんでしたから、「白」という色だけで、式の主役である花嫁へとお客さまの視線を集中させることができます。

 逆に披露宴では、お色直しで金襴緞子(きんらんどんす)の華やかな衣装となります。これは、キラキラした生地にロウソクやライトの光があたり、花嫁が光り輝くオーラに包まれるようにとの演出効果があります。本当によく考えられているな、と改めて感心させられます。

 花嫁衣装には、そういった演出だけでなく、ほかの意味もあります。白無垢(しろむく)をまとうのは、「あなたの色に染まります」「けがれのない状態で嫁ぎます」という意味。私は、ここに「結婚」に向けた心がけが込められていると思うのです。

 今、「嫁ぐ家の家風に染まる」というと、「なんて古い!」などといろいろなご意見があるかと思います。けれど、それを踏まえた上で、私なりの考えをお話しさせていただければ幸いです。もちろん、結婚をしたことのない私が偉そうに言えることではありませんけれど、かつてのパートナーとの関係や、会社を経営して人を育ててきた経験から、「長く人と一緒にいるということは、どういうことなのだろう」と私なりに考えてきたのです。

 我を通さず受け入れる

 結婚というのは、「お互いのイヤな部分を、どこまで許せるか」ということなのではないでしょうか。恋愛中はお互いのイヤな部分は目に入りませんが、一緒に生活するとなるとそうはいきません。それこそ、掃除の仕方からお味噌汁の味付け、ご飯の炊き方、冷房の温度までが違う。ささいなことからぶつかり合ってしまうことも多くなると思います。

 でも、大事なのはそこで我を通すのではなく、いったんは受け入れる努力をすること。互いを愛しているからこそ、まずは互いの常識を受け入れてみてほしいのです。

 花嫁衣装も同じ。一度真っ白になって、相手の家の色に染まってみる。それを消化した上で、自分たちの新しい色を作り上げていく。そういった大切な教えが、白無垢からお色直しへという衣装に込められているのではないでしょうか。

 少しだけかわいらしさを

 結婚は、自分たちだけのものでは決してありません。最初は「愛さえあれば2人だけで生きていける!」と勢いで押し切ってしまっても、愛の形はいずれ変わっていくもの。自分たちの家庭を新しく作るということは、同時に、互いの家族や友人たちと、確かな関係を築き合うということでもあります。だからこそ、最初の段階から、きちんとした礼儀を持って接したいものです。

 私もウェデング着物をデザインするときは、本人だけでなく、おじいさまやおばあさまをはじめ、参席してくれた全ての人に「かわいいね」といってもらえる衣装にすることを心がけています。

 まずは、クラシックなものにすること。それからもう一つは、モダンなデザインであっても、どこかにほんの少しかわいらしさをしのばせておくことです。モダンなだけ、大人っぽいだけでは、どうしてもとがったような印象になってしまいますから。

 色んな事情のある方もいらっしゃるでしょう。決して人のために結婚をするわけではないけれど、もし自分を祝うために式に駆けつけてくれる人がいるならば、それは本当にうれしいことです。だからこそ、みんなに笑顔で祝われ、若い2人がかわいがってもらえるように…。衣装を通して、そんなお手伝いが少しでもできたらと、心から願っています。

 愛を込めて IKKO(美容家 IKKO/SANKEI EXPRESS

 ■いっこー 女性誌をはじめ、テレビ・CM・舞台などのヘアメークを通じ、「女優メイクIKKO」を確立。その後、美容家・タレントとして活動。最近では、コスメをはじめ、多くの女性の美に対するプロデュース業にも注目が集まる。

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