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中国 商船三井の船舶差し押さえ 戦時賠償訴訟敗訴で 上海法院
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中国の裁判所から差し押さえられた商船三井の鉄鋼石運搬船「バオスティール・エモーション」(商船三井のホームページから) 日中戦争が始まる前年の1936年に日本の海運会社に船舶を貸し出した中国の船舶会社の親族が未払いの賃貸料などを求めて勝訴した裁判をめぐり、上海市の上海海事法院(裁判所)は4月19日、海運会社の流れをくむ日本の海運大手「商船三井」が所有する貨物船1隻を浙江省舟山市の港で差し押さえた。
上海市当局が20日、発表した。
戦後補償をめぐる裁判で、日本企業の資産が中国側に差し押さえられたのは初めてとみられる。戦時中に日本に強制連行されたと主張する中国人元労働者らの訴えも相次いでおり、被告となった日本企業を揺さぶる狙いがありそうだ。
海事法院に差し押さえられた商船三井の船舶は、中国向けにオーストラリアやブラジルから鉄鉱石を輸送する宝山鋼鉄の専用船「バオスティール・エモーション」(全長約320メートル)。
中国側によると、当時の船舶会社「中威輪船公司」が日本の「大同海運」に船舶2隻を貸し出したが、大同側は用船料を支払わず、船舶はその後、旧日本海軍が使用し、沈没した。
88年に「中威」の創業者親族が20億元(現在のレートで約330億円)の損害賠償を求めて提訴した。
大同の流れをくむ商船三井側は「船舶は旧日本軍に徴用されており、賠償責任はない」と主張したが、海事法院は大同が船舶を不法占有したと認定、2007年に約29億2000万円の賠償を商船三井に対して命じていた。10年に上訴審で1審支持の判決が出て確定したが、商船三井側は賠償を拒否していた。
親族側は上海海事法院に強制執行を申し立てる一方、和解協議を行ったがまとまらず、差し押さえることになったという。
海事法院は「商船三井が義務を履行しない場合、法律に従って差し押さえた船舶を処分する」としている。
商船三井広報室は「事実があることは認識しているが、詳しい事実関係について確認中で、今後の対応も検討中」とした。(上海 河崎真澄/SANKEI EXPRESS)
≪対日揺さぶりの一環か≫
中国の裁判所が戦後賠償の一環として、商船三井の船を差し押さえたことは、前例のない強硬策といえる。習近平政権による反日キャンペーンは、言論による日本批判から日本企業の資産接収という「実力行使」に進んだことを強く印象づける。今後の日中関係に深刻な影響を与えるのは必至だ。
北京の日中外交筋は、「『戦争賠償の放棄』を明言した中国が、戦時中の問題をめぐり、現在の日本企業の財産を差し押さえることは、外交条約から見ても法律的に見ても非常識な暴挙だ」と指摘する。
さらに、「●(=登におおざと)小平(とう・しょうへい)ら中国の指導者の呼びかけに応じて中国の経済発展を支えるために進出してきた企業が、戦前のことを理由に財産を取られるならば、だまされたというほかない」(日中外交筋)との見方も示した。
しかし、今回の措置は、中国国内では支持を受けている。各ポータルサイトで4月20日、このニュースがトップ級で伝えられると「遅すぎた英断だ」「中国にある日本企業の財産をすべて没収すべきだ」といった書き込みが殺到した。
中国では現在、第二次大戦中に強制連行されたという元労働者らが日本企業に損害賠償を求めて裁判所に提訴する動きが相次いでいる。今回の司法判断を受けて、今後、被告となった企業の中国国内の資産が次々と差し押さえられる恐れもある。
株価低迷や大気汚染など環境悪化を抱え、習近平指導部の求心力は低下している。
ある共産党筋は「習指導部は、江沢民時代から実施してきた愛国主義教育によって国民の間で高まっている反日感情を利用し、国民の不満をガス抜きしようとしている」と分析した。(北京 矢板明夫/SANKEI EXPRESS)
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