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「大間原発建設中止を」 函館市提訴

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「大間原発建設中止を」 函館市提訴

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電源開発(Jパワー)大間原発(建設中)=2014年4月3日現在、青森県下北郡大間町  電源開発(Jパワー)が青森県大間町(おおままち)に建設中の大間原発をめぐり、津軽海峡を挟んで対岸に位置する北海道函館市は4月3日、「事故が起これば市民に甚大な被害をもたらす」として、国やJパワーを相手取り、建設中止などを求める訴えを東京地裁に起こした。自治体が国に原発差し止め訴訟を起こすのは初めて。

 菅義偉(すが・よしひで)官房長官は3日の記者会見で「大間原発は既に原子炉設置許可を受けている」と述べ、建設を継続する考えを示した。

 訴状によると、大間原発から函館市までは最短で約23キロメートル。市街地も30キロメートル余りの距離に位置している。

 市は訴状で、福島第1原発事故の影響で一部に帰還困難な地区が生じ、生活インフラが破壊されるなどしたとして、「市が大間原発の建設差し止めを求めることは住民の生命と生活を守ることを任務とする地方自治体として当然のこと」としている。

 その上で「大間原発の設置許可申請時に用いられた安全審査指針類や、原子力規制委員会が策定した新規制基準では安全性は確保できない」と指摘。「津軽海峡近くというテロに脆弱(ぜいじゃく)な立地にかかわらず、対策も不十分としている。

 Jパワーは3月の大間町議会で、完成後の稼働に向け、新規制基準を満たすかどうかの審査を今秋にも原子力規制委に申請すると表明した。函館市議会は3月、提訴に関する議案を全会一致で可決。訴訟費用約390万円を含む2014年度予算案も可決しているほか、訴訟費用に充てる寄付金を全国から募っている。

 ■電源開発のコメント 「函館市には情報提供や説明をしてきており、提訴は誠に残念。規制委員会の新規制基準や最新の知見を踏まえながら必要な対策を着実に実施し、安全な発電所づくりに取り組む」

 ≪核燃サイクルの中核 大間町は「早期稼働を」≫

 大間原発は全ての燃料に、使用済み燃料から取り出したプルトニウムとウランを混ぜた「混合酸化物(MOX)燃料」を使う国内初のフルMOX発電が特徴で、国策で進めてきた核燃料サイクルの中核を担う。国策に対する自治体からの異例の提訴に、「司法の場での判断になじむ問題なのか」との議論もある。

 大間原発は、今秋にも新規制基準に基づく安全審査を原子力規制委員会へ申請する見通しで、すでに新規制基準に基づく安全対策が取り入れられている。津波で電源を喪失した東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえ、沿岸部には高さ3メートルの防潮堤を整備。陸地の高さと合わせ15メートルの津波に耐えられるようにした。

 敷地周辺には、太平洋に恵山(えさん)岬東方沖断層、津軽海峡に根岸西方断層など11断層があり、耐震設計上考慮する活断層として、基準地震動(想定される最大の揺れ)の策定を進めている。

 大間原発は、MOX燃料を軽水炉で使うプルサーマル計画の中心で、原子炉の建設費用の一部には国費も投入され、MOX燃料だけで発電できる国内初の発電所となる。函館市は立地自治体ではないが、津軽海峡を挟んで原発から30キロ圏内の緊急防護措置区域(UPZ)に位置するため、防災計画の策定が必要な周辺自治体として、再稼働などへ一定の影響力を及ぼす立場にある。

 似た事例では、四国電力伊方原発(愛媛県)と瀬戸内海で隔てられた山口県上関町があるが、四電は山口県と安全協定を締結し、立地自治体と同等の説明を果たしている。だが、電源開発は「協定の締結交渉は、原子炉の試運転時に燃料を搬入する直前の段階で行うのが通例」として、函館市や北海道との協定締結には至っていない。

 函館市の工藤寿樹(としき)市長(64)は記者会見で「乱暴なやり方ではなく、(住民に)理解を求め積み上げていくべき。原発に反対する国会議員も多い中、国策といわれるのは全く承服できない」と述べた。

 だが、自治体の提訴には異論もある。国学院大学の川合敏樹准教授(行政法)は「三権分立の観点から、司法は行政の裁量に踏み込まないのが慣例。今回は、事故時の財産や人命について審理されるが、結果として大間原発が建設凍結になれば、エネルギー政策という国策に影響が生じる可能性があり、司法の場になじまない提訴だ」と指摘する。

 また、大間町には、大間原発の早期完成を望む声が多い。東京電力福島第1原発事故で現実になった緊急時の避難に不安は抱えるが、地域浮揚として経済効果に期待せざるを得ない現実がある。

 「市民を守るという函館市の行動は理解できる」。大間町商工会の和田昭博事務局長は提訴をこう受け止めながらも「会員の100パーセント近くが早期稼働を求めている」と言い切った。(SANKEI EXPRESS

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