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社会
【Q&A】JR北海道の改竄 「安全軽視」体質変わらず厳重処分
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【JR北海道の改竄】JR北海道の調査結果・対応/国土交通省の処分・対応=2014年1月26日現在 JR北海道はレールの検査数値を改竄(かいざん)していた問題で、75人の社員・役員を処分し、国土交通省も前例のない厳しい行政処分を通知しました。
Q どんな問題ですか
A レール間が規定より広がっていたことが保守点検で分かりながら、管理担当者たちが修理せず、測定した数値を書き換えて異常がなかったかのようにごまかしていました。昨年(2013年)9月に函館線で起きた貨物列車の脱線事故をきっかけに、レールの異常放置、改竄が次々発覚しました。
Q 調査の結果は
A JR北海道にはレールを管理する保線部署が44ありますが、75%に当たる33部署で改竄が行われていました。保線担当者795人のうち、129人が改竄の経験があると認めました。JR北海道は、脱線事故現場の改竄に関与した社員5人を解雇したほか、野島誠社長ら役員13人の報酬を減額するなど、計75人を処分しました。
Q いつから改竄していたのですか
A 調査では「20年前にもあった」との証言もあり、部署によっては代々引き継がれていたようです。以前から問題を指摘する声が社内にありましたが、会社側が対処しなかったともいいます。
Q 原因や背景は
A JR北海道は、資金不足で保線担当の作業員を減らし、ベテラン社員の退職も重なり、体制が万全でなかったことを原因に挙げました。検査データの管理が甘く、改竄が日常化していたのに、本社は気付かず長年放置していました。
Q 厳しい行政処分とはどんな内容ですか
A 国が経営関与する権限を定めたJR会社法を使い、国交省が安全第一の体制に改めさせる「監督命令」を出します。また鉄道事業法の「解任命令」を出し、役員の1人について安全部門トップの任務を解くよう求めました。ともに初めてとなる重い処分です。鉄道事業法では「事業改善命令」も出し、施設管理の見直しも要求しました。
Q なぜそこまで重い処分をしたのでしょう
A JR北海道は、2011年に起きた特急の脱線火災事故でも事業改善命令を受けましたが、事故やトラブルも続いており、安全軽視の企業体質が変わっていないことが判明したからです。
Q これで大丈夫なのでしょうか
A JR北海道には、外部有識者の第三者委員会が設置され、改善状況が随時チェックされます。国交省も今後5年にわたり監査を続けます。ただ、経営難で十分な設備投資ができない中、安全を確立できるか不安の声もあります。
≪脱線事故、立件視野に捜査≫
昨年(2013年)9月のJR函館線大沼駅構内の貨物列車脱線事故で、北海道警は業務上過失往来危険容疑の立件を視野に慎重に捜査している。保線担当者が、事故現場のレール幅の検査数値を事故直後に改竄していたことが分かっており、道警は、脱線が予見できたかを中心に調べを進め、刑事告発を検討する国土交通省と詰めの調整をしている。
道警は昨年(2013年)9月19日に発生した脱線事故の翌日から2日間、現場を実況見分し、JR北海道から資料の提出も受けた。資料には基準値を超えるレール幅の広がりが25ミリと記載されていた。
しかし、実際の広がりは昨年(2013年)6月の時点で39ミリで事故発生の2時間後に書き換えられていたことが判明。ある捜査幹部は「悪質性が上がった」と憤る。JR北海道は脱線事故までに限界値の43ミリを超えていた可能性があるとしており、道警も検証を続ける。
JR北海道は運転ミスを隠すため自動列車停止装置(ATS)を破壊した運転士を刑事告訴する考えを明らかにした。道警は安全軽視体質の解明も進める方針だ。(SANKEI EXPRESS)