ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
科学
川内原発 今夏にも再稼働一番乗り 規制委 1、2号機の優先審査決定
更新
九州電力川内(せんだい)原発=鹿児島県薩摩川内市 原子力規制委員会は3月13日、事実上の合格証となる「審査書案」を優先して作成する原発を九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)に決定した。規制委に審査申請中の10原発17基のうち、川内が最も早く審査を終え、再稼働一番乗りとなる見通し。電力需要が高まる夏までに運転する可能性もある。
規制委の田中俊一委員長(69)は13日の定例会見で「(原発の)立地に適合性があるかどうかの判断で、地震や津波など自然現象についてクリアできた」と川内が優先される理由を話した。
優先原発の選定で、規制委は基準地震動(想定される最大の揺れ)を重視。この日の会合で、地震・津波担当の島崎邦彦委員長代理(68)は「川内だけは(基準地震動が)すでに確定している」と言及。過酷事故など設備面の安全対策を担当する更田(ふけた)豊志委員(56)も「重大事故対策で九電が示したものは満足のいくものだ」と述べ、審査で問題が出ていないとした。
川内には今後、審査チームの人員を集中的に投入し、1カ月程度で審査書案を作成する。その後、約4週間の意見公募や地元での公聴会を経て、審査は終了。原発の再稼働には地元同意も必要となる。
九州電力川内原発1、2号機の審査終了の見通しが立ったことで、再稼働への道筋は政府の判断に焦点が移った。産経新聞社の調査では、立地の鹿児島県薩摩川内市を含む周辺9自治体はすでに事故時の避難計画も完成。住民に強い反対もなく、再稼働させやすい環境にある。
規制委は新規制基準への適合を審査するだけで、再稼働の判断は政府となる。川内の優先審査が決まった13日、菅義偉(すが・よしひで)官房長官(65)は「(規制委の)方向性が出たものについては政府として稼働させていく」と改めて再稼働の方針を強調。立地する薩摩川内市の岩切秀雄市長(71)は「大きな山を一つクリアできたものと考えている」とのコメントを発表した。
地元の防災体制の整備が再稼働に必要だが、原発30キロ圏内の9市町は事故時の避難計画を含む防災計画の策定が完了。再稼働の受け入れ態勢は整っている。
政府の責任の明確化も課題だ。2012年の関西電力大飯(おおい)原発(福井県)の再稼働の際は、当時の野田佳彦首相(56)が記者会見で原発の重要性を訴えた。鹿児島県の伊藤祐一郎知事(66)は13日、「国が安全性を保証し、公開の場で住民に説明して理解を得る必要がある」と言及。だが、国では「地元への説明会は必要だが、担当省庁は未定」(原子力規制庁)で、再稼働へ向けた国側の準備も急がれる。
≪安全要求を尊重 大飯は自前データに固執≫
原子力規制委員会が3月13日、九州電力川内1、2号機(鹿児島県)を優先審査する原発に決定した。昨年(2013年)7月から92回の審査会合を経て、ようやく合格の一番乗りを果たす公算が大きくなった。審査が終盤に入っている九電玄海原発3、4号機(佐賀県)や四国電力伊方原発(愛媛県)も続く可能性がある。再稼働の順位は、規制委への“恭順の意”もポイントになったようだ。
昨年(2013年)7月の新規制基準施行と同じ時期に、4電力会社が、6原発10基の審査を申請した。中でも、川内は基準地震動(想定される最大の揺れ)を「安全側に行き過ぎている」(九電幹部)というほど、規制委の要求に全面的に従った。
これに対し、先頭集団にいたものの自らのデータに固執し、遅れたのが関西電力大飯(おおい)原発3、4号機(福井県)。新規制基準が施行される前に事前確認を済ませ、稼働していた実績が強みだったが、規制委が再三要求していた周辺活断層の三連動の可能性を拒否し続けた。長期間の工事を避けるため、関電が基準地震動の引き上げを阻止しようと躍起になったのが審査を長引かせた要因だ。
そのほかの原発では、伊方が地下構造の把握に時間がかかり、基準地震動が示されていない。関電高浜原発3、4号機(福井県)も、大飯のデータ解析に手を取られ、基準地震動の策定が遅れている。
審査が先行している原発は加圧水型軽水炉(PWR)のみで、事故時に格納容器の圧力を下げる「フィルター付きベント(排気)設備」の即時設置義務がないことが大きい。
審査が序盤の中国電力島根原発2号機(島根県)など4原発は沸騰水型軽水炉(BWR)で、ベント設備の義務化が今後の審査の焦点となる。(SANKEI EXPRESS)